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二階堂先生の「食べ物は薬」
ガガイモ - 若い芽は昔からの強壮食品、種子や葉は薬用にされます
- ガガイモ
- 学名:Metaplexis japonica
- 科名:キョウチクトウ科 (旧 ガガイモ科)
- 和名:ガガイモ
- 英名:rough potato, gaga-imo
- 別名:カガミ、カガミグサ、ガンガラ、ゴンガラ、トウノキ、クサバンヤ、ラマソウ、チグサ、チチグサ
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日本の北海道から九州までと、朝鮮半島、中国、ロシアの一部に分布する、つる性の多年草です。日当たりのよい原野に自生し、太くて長い地下茎を横に伸ばして増えてゆきます。
茎は他の植物に絡みついて伸ばし5m以上にもなります。
葉は心臓形で対生し、全縁で表面は艶のある緑色をしており、裏面は白みを帯びており、葉の両面に軟毛があります。毛のほとんど見られない類似種のイケマ Cynanchum caudatum と見分けるのに役立ちます。
夏に葉腋から長い花柄を出して、先端に強い香りを放つ径1cmほどの広鐘形をした淡紫色の花を咲かせます。花冠は5深裂し、内側に長い毛を密生し、上の部分は反り返って星型になります。
果実は表面にイボのような突起がある褐色扁平の大型の袋果となります。果実が熟すと縦に割れて長い白色の絹糸のような毛(種髪)があり、翼をもった種があり、風によって飛び出してきます。
若い芽は茹でて水にさらしたのち、浸し物、和え物、酢の物、煮物、炒め物、天ぷらや汁の実として食用とされます。ほのかな甘みと特有の淡い味がポイントとされ、昔から強壮食品として好まれてきました。また若い果実も天ぷらや漬物にして食べられます。ただし、根茎には有毒成分が含有されているので注意が必要です。
成熟した果実を採集し、種子を丁寧に取り出して陽乾させたものが生薬の蘿摩子(らまし)で止血、強壮、強精薬として、また葉も同様に用いられます。種子から出ている白毛は切り傷の止血に用いられ、生の葉から出る乳液は蛇や毒虫に嚙まれた時の止血や、イボ取りに効果があると言われています。
成分としてはステロール類、糖類の他にプレグナン配糖体のサルコスチン、プレグラリン、ベンゾエㇽラマノンなどが知られています。
果実の内側が滑らかなのでカガミ(輝実、鏡)から転じてガガイモになったとされていますが、他にも古名を「加々美(かがみ)」と言い、古事記には小さな神様が小さな船のようなかがみの船(ガガイモの果実)に乗って日本に来たとの記事があります。
また渡りをする蝶として良く知られているアサギマダラの食草の1つとしても知られています。