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二階堂先生の「食べ物は薬」

クロモジ - 揮発性の強い芳香があり生薬、染色、和のハーブと幅広い用途

クロモジ
  • クロモジ
  • 学名:Lindera umbellata
  • 科名:クスノキ科
  • 和名:クロモジ
  • 英名:
  • 別名:トリコシバ(方言)、鳥柴、鳥木

関連画像

クロモジの茎 クロモジの葉(左:裏,右:表) クロモジの花 クロモジの根 クロモジの果実 クロモジ クロモジ樹皮 クロモジ クロモジ新芽 クロモジ葉 クロモジ クロモジ果実

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我が国の本州から九州までの低い山中に広く自生し、また中国大陸に分布する雌雄異株の落葉小低木です。

幹は直立し、2~6m位の高さまで成長し、枝が多く、若い枝には毛が見られますが、徐々に無くなって平滑で暗緑色の樹皮となります。黒い斑点が見られることが多く、折ると木部、樹皮や葉などに強い揮発性の芳香があります。

葉は枝の上部にまとまって付き互生します。やや長い葉柄があり、全縁で卵状の楕円形をしており先端がとがっています。上面は無毛で光沢があり、黒い小さな斑点が見られ、裏面は白くて軟毛が散生しています。秋には鮮やかに澄んだ黄色になります。

春早く新緑と同時か、少し早く葉腋に淡い黄緑色の小さな花を散形花序につけます。雄株の雄花にはおしべが9個、雌株の雌花は少し小型で、1個のめしべと9個の仮おしべとが見られます。

果実は球形の光沢のある液果で、秋の初め頃から黒く熟し始めて、中に灰褐色をした球形の種子が1個入っています。

根を掘り取って水洗後、根皮をはがして陰乾したものが生薬の「釣樟根皮(ちょうしょうこんぴ)」で、葉の付いた枝を陰乾したものが「釣樟」で、枝葉を水蒸気蒸留して得た精油が「黒文字油」です。根皮は煎じて急性胃腸炎、脚気などに、また真菌性皮膚炎には煎汁で洗って用いられます。枝は煎じて鎮咳、去痰の目的で用いられます。さらに各部位は浴剤として脱毛やフケ防止、保温、リウマチ、腰痛などにも広く用いられます。そのほか枝葉エキスにはインフルエンザ感染予防やコロナウイルス増殖抑制作用も知られています。

枝を折ると芳香があることから古くからの日本の風習で爪楊枝として、根元に黒い皮を少し残してあるものなどは、特に高級な和菓子などに添えられて用いられます。千葉県の上総楊枝は明治時代から作られている特産品として知られています。

枝葉は染色にも用いられ季節により色の変化(夏は黄色系、秋は赤色系)が大きく、アルミ媒染でも使われます。

和のハーブとしてお茶にして飲まれ、滋養強壮や体調のすぐれない時などに使われます。またドライのクロモジを細切して塩と混ぜ香りを塩に移したクロモジソルトは肉料理などに、フレッシュなクロモジの葉をオリーブオイル、落花生、松の実などとミキサーで混ぜバスタのソースとして用いられます。


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