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二階堂先生の「食べ物は薬」

サンショウ - 辛味で大脳を刺激

サンショウ
  • サンショウ
  • 学名:Zanthoxylum piperitum
  • 科名:ミカン科
  • 英名:japanese pepper
  • 別名:山椒、椒(はじかみ)

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サンショウ葉と刺(対生) イヌザンショウ葉と刺(互生) サンショウの果実 サンショウ葉と刺(対生)、イヌザンショウ(互生)、と果実

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日本全土から朝鮮半島、中国の山野に自生する雌雄異株の落葉低木です。栽培が始まったのは明治時代からといわれ、それ以前は野山で採取して用いていました。

枝の葉柄の付け根に対生する刺があり、葉は奇数羽状複葉で、小葉には鋸歯が見られます。春に咲く雌花、雄花とも黄色い小花で、秋には果実が紅熟し、後に果皮が裂開して中から黒色の丸い種子を出します。江戸時代に兵庫の朝倉山で発見された無刺のアサクラザンショウ(Zanthoxylum piperitum var. inerme)が、現在栽培されている優良品種です。果実が大型で、芳香も強いものです。しかしこの種子を播いても先祖返りをして再び刺を生じてしまうため、一般には刺のある品種を台木にした接ぎ木により栽培されています。

葉や果実には共に特有の爽やかな芳香と、ピリリとする辛味があり、この若芽や葉を香辛料として料理では「木の芽」と言って、吸い物や寿司の薬味として用いられています。果実の未熟なものは昆布の佃煮、ちりめん山椒、焼き魚などに用い、熟したものは粉末にして鰻料理や七味唐辛子に用いています。また夏場の糠味噌に果実を一握り入れておくと、辛味成分の防腐作用により腐敗防止に有効とされています。

このサンショウに外形が大変よく似ているイヌザンショウ(Zanthoxylum schinifolium)は刺の付き方が互生で、香りが悪いので区別が付きます。

成熟した果実から、できる限り種子を除いた果皮を乾燥したものを生薬の山椒(サンショウ)と呼び、(センブリ、トウヒ、サンショウからなる)苦味チンキの原料、駆風、解毒、殺虫作用、芳香性辛味性健胃薬として用いられます。

これらの薬効については精油成分としてのシトロネラール、リモネン、ジペンテン、フェランズレン、ゲラニオールなどの芳香成分、並びにサンショオール、サンショウアミドなどの辛味成分が大脳を刺激して内臓の働きを高める作用によると考えられます。

漢方処方の大建中湯(だいけんちゅうとう)や当帰湯(とうきとう)などに、腹の中を温めて、腹痛を治し、腸内のガスを去る目的で配合されています。

また葉や茎を使って、アルミ、錫、鉄などの媒染剤を用いて茶色味を帯びた黄色、鼠色、黄緑色などの染色にも使われます。


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