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二階堂先生の「食べ物は薬」
ジャガイモ - 消化器系が弱い人には最適
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- ジャガイモ
- 学名:Solanum tuberosum
- 科名:ナス科
- 英名:potato, potatoe
- 別名:馬鈴薯、陽芋
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南米アンデス原産の多年草で、1570年頃にヨーロッパへ伝えられ、1598年にジャワ(インドネシア)のジャガトラ(ジャカルタ)から渡来しました。このことからジャガイモの名前になったとも言われています。また馬鈴薯の名前は芋の形が馬に付ける鈴に似ていることから、小野蘭山が命名したとも言われています。ヨーロッパ、アメリカをはじめ、日本でも江戸時代の飢饉の際に代用食物として食べられ「お助け芋」と呼ばれたこともあります。
地上茎は50cm~1m位になり、葉は奇数羽状複葉で、初夏に淡紫色又は白色の星形をした花が咲き、まれに直径2cm位の果実を付けますが、完熟することはほとんどありません。そのため栽培は発芽した芽を中心に切り取った種芋を用いて行い、肥大した地下茎の部分(塊茎)を食用とします。芋を茹でて食用とし、サラダ、じゃがバター、肉じゃが、粉ふき芋にしたり、味噌汁、カレー、シチュー、おでんなどの材料などに広く使われます。加工してポテトチップス、フライドポテトや冷凍食品にも利用します。またデンプン原料としてインスタント麺に用いたり、片栗粉として市販されている物に使われます。この片栗粉の本来の原料はユリ科植物、カタクリから採るデンプンですが、現在の市場ではほとんどがカタクリデンプンではなく、ジャガイモデンプンを用いています。その他焼酎、ウオッカ、ジンなどの蒸留酒原料としても使われています。
ジャガイモは胃腸を丈夫にし炎症を抑える働きがあり、消化器系が弱い人には最適の食品といえます。またビタミンCが豊富で、熱に弱いビタミンCはデンプン膜で保護され、ジャガイモを加熱調理しても壊れにくく、1個で1日に必要な量の2/3を取れるとされます。「バレイショデンプン」として医薬品の賦形剤としても用いられます。
ジャガイモには有毒成分のアルカロイド配糖体であるsolanineなどが含有されているので、芽や緑色をした皮の部分は取り除く必要があります。この有毒成分は熱にも強いが、水溶性ですから、茹でたり、水にさらしたり、皮を除くなどすることで中毒を防ぐことができます。中毒症状はめまい、吐き気、腹痛、頭痛などですが、日本でも毎年数件の中毒事件が発生しており、多い時には100人以上の患者が出たこともあります。芽が出ないように5℃以下の冷暗所に保存することが大切です。