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二階堂先生の「食べ物は薬」
タマネギ - ペットのタマネギ中毒に注意
- タマネギ
- 学名:Allium cepa
- 科名:ユリ科
- 英名:onion
- 別名:玉葱
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中央アジア原産の多年草で、ネギとよく似た淡緑色の葉は中空で細い管状になっています。播種して3年目にやや肥大した花茎が伸びて、1-2mの高さになり、球状の花穂を頂生して白色~紫色の小花を沢山付けます。地下部の鱗茎は直径10cm位になって、外側は茶色の膜質で、内側は鱗片葉が重なっています。
栽培は古く紀元前のエジプト時代からなされており、東欧に伝わり辛味の強い品種が、また南欧に伝わり辛味の少ない品種が作られました。日本へは江戸時代に長崎に伝わりましたが観賞用とされ、明治時代になって札幌での試験栽培が始まりました。
春播き栽培と秋播き栽培の品種に大別されていますが、多くの品種が知られています。多肉質で刺激性の臭味がある鱗茎が食用に供され、サラダ等の生食、カレー、グラタンなどの煮物、油炒め、スープなど洋食の重要な食材とされています。またネギと同様に鍋料理や味噌汁の具などにも用いられています。最近では乾燥させたものも作られ、水で戻すと約10倍にも増えます。また葉も野菜として使われるようになっています。栄養成分としては水分90%、タンパク質1%、糖質7%の他、ビタミンC、カリウム、リンなどを含んでいます。料理の時、タマネギを切ると、涙が出るのは切ったときに中に含まれていた硫黄化合物が気化し目や鼻の粘膜を刺激するためです。しかし色々の方法でこの刺激物質のアリルプロピオンを除くと味が落ちると言われます。
鱗茎を乾燥したものは胡葱(こそう)と呼ばれています。発汗、利尿、興奮作用が知られており初期の風邪に、又消化液分泌促進作用による食欲増進作用もあります。ネギと同様に 喉の痛みに温湿布をしても有効です。独特の辛味と香りは硫化アリルによるもので、この成分は消化液の分泌促進、新陳代謝を活発にし、またビタミンB1と結合してアリチアミンとなり吸収をよくするので食欲不振、不眠症、精力減退、疲労、高血圧予防にも有効です。高脂肪食品を食べると高くなる血漿コレステロール値を下げ、またネギと同様の殺菌作用が知られており、分離された結晶が食中毒やジフテリア、トリコモナス腟炎などの治療に使われます。
人間以外の動物ではタマネギ中の硫黄化合物による中毒が知られており、重度の溶血性貧血を起こし死に至ることも多いので、ペットの餌に混入したりタマネギを含む食品(ハンバーグ、カレーなど)を与えないように注意する必要があります。これは同属植物のネギ、ニンニク、ニラなどについても同様の事が言えます。