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二階堂先生の「食べ物は薬」
トマト - 低カロリーのアルカリ食品
- トマト
- 学名:Solanum lycopersicum
- 科名:ナス科
- 英名:tomato, love-apple
- 別名:蕃茄(ばんか)、赤茄子(あかなす)、唐柿(とうし)、小金瓜(こがねうり)
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南米原産の多年草で、16世紀はじめにメキシコからヨーロッパへわたり、はじめは有毒成分を含むベラドンナと似ているため、毒草と思われて観賞用にされていましたが、18世紀頃から食用となって広まりました。アメリカへは19世紀になって伝わり、税金の関係から「果物」か「野菜」かの論争が起こり、最高裁の判決で「野菜」に落ち着いたと言われています。日本へは江戸時代に長崎に伝わり、はじめは「唐柿」と呼ばれ、観賞用とされ、食用となったのは昭和になってからで、それ以後盛んに品種育成がなされ、世界では8,000種が知られ、日本でも120種以上が品種登録されています。特に洋食文化によるケチャップの普及と共に広まりました。
生食としてのサラダ、焼きトマトの他、手を加えてピザ、ソース、カレー、シチュー、スープなどに用いられます。さらに加工食品原料としてジュース、ケチャップ、ピューレ、ソース、ドライトマトなどにも使われています。
ビタミンA, Cを多く含み、欧米や中国では身体によい食物で、胃を丈夫にして消化を助け、喉の渇きを癒す野菜として、暑くて食欲がない時などによく食べられています。旨味成分のグルタミン酸を多く含んだ、低カロリーのアルカリ食品で浄血、脂肪消化作用が知られています。
果実の色はlycopene, carotene, 臭いは黄色透明の精油によるものです。多量に含まれているlycopeneについては抗酸化作用が知られ、がん予防の効果が指摘され注目されています。
有毒なアルカロイドのtomatineが茎や葉に多く、花や未熟果などにも含まれています。トマトの青臭さや苦みの素でもあり、tomatine含有部分の大量摂取で下痢、腹痛を起こします。