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二階堂先生の「食べ物は薬」

チャノキ - 胃腸を洗浄して消化

チャノキ
  • チャノキ
  • 学名:Thea sinensis (Camellia sinensis)
  • 科名:ツバキ科
  • 英名:green tea
  • 別名:茶

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チャノキの葉と果実、種子 チャノキの葉、表(左)と裏(右) チャノキの花 チャノキ

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中国南部原産と言われる常緑性の低木です。日本へは臨済宗粗の栄西により1191年に種子が持ってこられ、それ以後各地で栽培されています。野生のものでは7~8mの高さになりますが、栽培では剪定するので1m前後の高さです。

葉は短い葉柄を持ち互生し、葉身は長楕円形をした革質で葉縁には細かい鋸歯があって、表面はやや光沢のある濃緑色をしています。

葉の付け根から花柄を出し、秋から冬にかけて白色5弁の花を下向きに咲かせます。雄ずいの葯は黄色で多数あり、特に白い花弁に映えて目立って美しいものです。

果実は偏球形をしたさく果で、翌年の秋に熟し、果皮が3片に割れて暗褐色をした大きな3個の種子を生じます。

アッサムチャThea sinensis var. assamica、トウチャ Thea sinensis var. macrophylla 、ウーロンチャにする Thea sinensis var. viridis などの変種が知られています。アッサムチャはインド・アッサム地方原産で長い葉(20-25cm)で先が尖り、質は薄く表面にしわが多い葉で、タンニンが多く含まれて、主に紅茶 black tea を作るのに用いられます。トウチャは枝、幹が太く、葉も大きく茶として飲まれますがタンニンが多く、渋味、苦味もあり美味とは言えません。

飲用の茶はその製法の違いによって緑茶 green tea、紅茶 black teaと烏龍茶 oolong teaに区別されます。緑茶は若い葉を摘み、短時間セイロで強く蒸し、さらに炭火で加熱しながら手で揉んでよりをかけ、最後に火入れと呼ばれる加熱をします。製造途中での加熱により葉の中にある酵素は不活化されるため、発酵による黒変やビタミンCの破壊は起こりません。ビタミンC含量が多く、揉んだりよりをかけることにより細胞組織が破壊され、葉に含まれる多くの成分が湯に溶けやすくなり、独特の香味が生じます。最上品は玉露で玉露用の葉を揉まないで石臼で粉末にしたものが抹茶です。その他煎茶、番茶、ほうじ茶などと呼ばれる茶があります。

紅茶は生の葉を発酵させ、その段階で発熱が起こり黄褐色に変色し、特有の芳香を発します。その後熱風乾燥して発酵を停止させて作られます。

烏龍茶は弱い発酵を起こさせ半発酵茶とも言われます。これに芳香のある花を混ぜたものを包種茶と呼びます。

葉を乾燥させたものが生薬の細茶(さいちゃ)で利尿薬とするほか、風邪薬などに発汗、利尿などの目的で配合されるカフェインの抽出原料とされます。またカフェインの他にカテキンも含まれており、このカテキンにはガンの予防、抗ウイルス作用、消臭などが知られ、健康食品への利用が多く見られます。その他キサンチン、テオフィリンや旨味成分のアルギニン、テアニン、また下痢に有効なチャタンニン、口臭防止などに使われるクロロフィルなどが含まれています。緑茶を陳皮、山椒とともに煎じて頭痛に、緑茶末と生姜の粉末を白湯で飲み下痢に用います。

渋味はタンニン、カテキンによりますが、これらは抗酸化作用、発ガン抑制作用、血中脂質の上昇抑制作用、脂質代謝促進作用、胃腸の収斂作用、鎮痛作用、抗菌、解毒作用などが知られています。苦味成分に含まれるカフェインには疲労回復、強心、利尿、肥満抑制作用などがあります。フラボノイドは口臭を防ぐほか血管の柔軟性を保ち、血圧を下げます。またビタミンCが豊富で風邪の予防、美肌効果もあり、ビタミンEやカロチンなども豊富だが飲むだけでは取れないので抹茶、茶殻のふりかけ、天ぷらのころもなどで食べることも良く、島根のぼてぼて茶、富山のばたばた茶、沖縄のぶくぶく茶などは食べるお茶です。「神農本草経」では「胃腸を洗浄するので食が自然に消化される」と書いてあります。濃く出した煎茶、番茶でお尻を洗ったり、おむつかぶれなどに昔は使っていた(抗炎症皮膚乾燥効果)ようです。また寿司屋で出されるお茶は魚の脂を溶かして、次に食べるものの味を良くし、香りが口臭を消すことから使われているのではと言われています。


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