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二階堂先生の「食べ物は薬」

ドクダミ - 加熱すれば臭いも消えて美味しい食材

ドクダミ
  • ドクダミ
  • 学名:Houttuynia cordata
  • 科名:ドクダミ科
  • 英名:houttuynia herb
  • 別名:十薬(じゅうやく)、重薬(じゅうやく)、魚腥草(ぎょせいそう)

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ドクダミの葉と花 葉の表(右上)と裏(左下) ドクダミの花穂 ドクダミ ドクダミ ドクダミ

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日本各地、中国、ヒマラヤ、東南アジアなどに広く分布し、やや湿った林地や低地に普通に見られる多年性草本です。細長く円柱状をした白色の根茎が横走し、茎は赤味を帯びてよく分枝し無毛です。暗緑色の葉が互生し、全縁で先が尖った広卵形をしています。

花は黄色の雄しべと雌しべだけの穂状花序で頂生しています。花弁や萼が無い裸花(らか)で、白色の花弁のように見えるものは花序の基に付いている、葉が変化した総苞(そうほう)とよばれるものです。

我が国では雑草のように扱われ、独特の臭いもあることから、あまり人目を引くような場所には植えられていません。しかし外国では花壇や庭園を彩る園芸植物として大変親しまれています。イギリスの有名なキューガーデンではかなり広いスペースに植えられていましたし、友人の家では門を入って、玄関へのアプローチに沢山植えられていました。

日本では食用としては全株に特異臭があるため、あまり好んで食べられませんがベトナムではハーブとして、また野菜として春巻きなどの具として使われています。この特異臭は加熱することで消えますから塩茹でして、水で晒してから調理すれば、若い葉を薄い衣を付けての天ぷらにしたり、味噌とみりんでの和え物などで美味しく食べられます。

生の葉には強い抗菌力があるので、何枚かの葉を重ねて火であぶり、中のドロドロと柔らかくなった物を冷ましてから患部に大きめに貼ると膿を吸い出して治ることから、化膿性の腫れ物に有効とされています。生の葉に含まれている特異臭成分は精油成分のラウリルアルデヒド(laurylaldehyde)とデカノイルアセトアルデヒド(decanoylacetoaldehyde)です。

デカノイルアセトアルデヒドには強い抗カビ性や、水虫、タムシなどに対する抗菌性があり、ブドウ状球菌、淋菌、抗酸性菌などにも有効とされています。

開花期の地上部を乾燥したものが日本薬局方にも収載されている生薬の十薬(じゅうやく)で緩下利尿性解毒薬、排膿薬、抗菌薬として化膿症、湿疹などの皮膚疾患や蓄膿症、中耳炎などに用いられます。民間ではドクダミ茶として利尿、便通、毒下し、動脈硬化予防などに用いたり、ニキビ、肌荒れにはハトムギとともに煎じて飲むと良く、痔疾にはイチジクの実又は葉と共に煎じて飲むか、浴湯料、腰湯で用います。また蓄膿、鼻炎、中耳炎、耳だれなどには煎液を飲むとよいとされています。

漢方処方では皮膚疾患用に五物解毒散(ごもつげどくさん)や、各種の腫れ物に用いる魚醒草桔梗湯(ぎょせいそうききょうとう)などに配合されています。

「十薬」の意味は「馬に用いて十種類の薬の効果があった」によるとされ、「魚腥草」は特異臭が魚の腐った時の臭いに似ることによるとされています。


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