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二階堂先生の「食べ物は薬」

トチノキ - 古代から利用された食糧源植物

トチノキ
  • トチノキ
  • 学名:Aesculus turbinata Blume
  • 科名:トチノキ科(Hippocastanaceae)
  • 英名:japanese horse-chestnut
  • 別名:栃、橡、栃の木、天師栗、七葉樹、ウマグリ(馬栗)、クリトチ

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トチノキの花と葉 トチノキの新芽 トチノキの種子と果実 トチノキの果実 トチノキの葉 トチノキの果実

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日本全国各地の山地に見られる日本特産の落葉高木で、高さは30mに達するものもあります。渓流沿いなど湿気のある肥沃なところを好んで育ちます。栃木県の県木としても知られています。

葉は大きく、長い葉柄の先に倒卵形をした5〜7枚の小葉を掌状に付け、葉縁には鋸歯が見られ、裏面には柔らかい毛があります。初夏に枝先に穂状花序を出し、白〜薄紅色をした小さな花の集合体で、蜜蜂が好んで訪れる蜜源花としても知られています。

果実は直径4cm位で、ほぼ球形の黄褐色をしており、秋になって熟して来ると果皮は3裂して大きさ、形などがクリに似た赤褐色で光沢のある種子が出てきます。一般にこの種子が「栃の実」と呼ばれています。「栃の実」すなわち種子には多量のデンプンが含有されているので、茹でて皮をむき、数日間水で晒したのち、木灰を加え熱湯を注ぎ渋抜きを十分に行います。これを洗ってから蒸し、もち米と一緒に搗き「栃餅」として食べたり、粥にして食用とします。ただし、サポニンなどの有毒物質を含み苦味も強いので、十分なアク抜き(精製)をしないと下痢、胃腸炎や脱水症状になることがあるので注意が必要です。こうしたことから栃の実は栗より劣るという意味で馬栗との別名が付けられ、英名もこれに由来しています。

材は木目がきれいで、緻密で軟らかく加工が容易なため、色々な面で利用され、特に室内の装飾的な部分で使われます。

トは十(とう)、チは千(せん)を表すことから沢山の実がなる木からトチの木、トチノキと名付けられ、毎年安定して沢山の実が収穫を期待できる木で、戦後の食糧難の時には大切な食糧源(救荒植物)とされました。また古代の人々も食料としたようで古墳から発掘されています。竹節人参の基原植物であるトチバニンジンの葉は、このトチノキの葉とよく似ていることから名づけられたと言われています。

樹皮にはカテコールタンニン(4〜9%)やクマリン配糖体を含有しており、種子には多量のデンプンと共にトリテルペンサポニンやアロインが含有されています。

樹皮は皮のなめし剤として用いたり、煎汁を下痢、痔、子宮出血に内服したり、凍傷やしもやけ等に塗布して用いられます。葉の若芽から出る粘液をそのまま塗って寄生性の皮膚病やたむしなどに用います。種子の皮には殺虫作用があるとされ、種子の乾燥粉末を民間薬として胃病の時に飲んだり、米と練ってしもやけに塗ったりして用います。種子にはサポニンが入っているので石鹸代わりに用いたり、焼酎に漬けこんだ種子を焼いて油で練って塗り薬として用います。

マロニエの名で知られているものは近縁種のセイヨウトチノキAesculus hippocastanum でパリの街路樹として有名です。セイヨウトチノキエキスは痔の治療効果が知られており、医薬品(内服薬)として使われています。その他に北米原産のアカバナトチノキや、セイヨウトチノキとアカバナトチノキとの雑種であるベニバナトチノキなどがあります。日本で街路樹とされているのは園芸種であるベニバナトチノキか、トチノキがほとんどとされています。


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