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二階堂先生の「食べ物は薬」
テンサイ - 寒冷地に適する重要な砂糖作物
- テンサイ
- 学名:Beta vulgaris var. rapa .
- 科名:アカザ科
- 英名:sugar beat
- 別名:甜菜(てんさい)、ビート、サトウダイコン
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地中海地方原産の越年草で、ヨーロッパ原産のフダンソウBeta vulgaris var. cicla の野生種から改良栽培されたものと考えられています。19世紀ころから砂糖の原料植物用として改良され、サトウキビの育たない寒冷地に適する重要な砂糖作物とされました。
根はカブ状に著しく肥大し、肉質で長さが約30cmにもなる紡錘形をしており、色は白色又は黄白色をしています。根生葉は叢生し、長い葉柄を有し、無毛で厚いホウレンソウの葉を大きくしたような長卵形の葉となります。
2年目の春に根の頂から茎を出し1メートル近くになる茎葉は細長く、夏に茎頂に黄緑色の小花を穂状に付けます。秋になって下葉が褐変した頃に根を収穫します。重さ500g~1kg、太い部分は直径10~15cmほどになった根を洗浄後、細長い角片に切って温湯に浸し、糖分を浸出させます。糖分は結晶と糖蜜に分離され、結晶糖は精製されて白糖となります。大体13~18%の糖含量でテンサイから得られる砂糖を甜菜糖(beat sugar)と呼んでいます。
根を収穫した際に切り落とした葉は家畜の飼料にしたり、そのまま畑に鋤きこんだりしますが、食用にもできます。茹でて食べると甘みがあり、漬物にしたり、油で揚げる料理法もありますが、アクが強いため一般的ではありません。食物繊維が多いので粉末にしたビートファイバーを食品とした利用法も検討されています。
砂糖の原料食物とされるビートの他に根菜とされるカエンサイ(テーブルビート、table beat) Beta vulgaris var. esculenta と葉菜とされるフダンソウ(リーフビート) Beta vulgaris var. cicla とが食用ビートとして知られています。
カエンサイは成熟した根を輪切りにすると同心円状に濃赤色の輪が見られることから火焔菜(かえんさい)の字が当てられており、欧米ではよく使われ、ロシア料理のボルシチには欠かせないものです。根にはデンプンは含有せず、テンサイよりはるかに少ない量ですが糖を含んでいます。
フダンソウはホウレンソウのように料理して食べられ「うまい菜」の名前で販売されており、春に蒔いて成長した外側の葉から順次採って冬まで収穫できるため不断草(ふだんそう)の字が当てられています。