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二階堂先生の「食べ物は薬」
ブドウ - 果実だけでなく種や葉も有効活用
- ブドウ
- 学名:Vitis vinifera
- 科名:ブドウ科
- 英名:grape-vine
- 別名:葡萄(ぶどう)
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南欧コーカサス、黒海沿岸地方とアジア西部原産のつる性落葉植物で、世界最古の果物と言われています。中国を経て渡来し、多数の品種が作られています。日本で古くから栽培されている品種は、中国から輸入されたヨーロッパブドウの東アジア系のもので、それが自生して、鎌倉時代に(山梨県)勝沼で栽培され始められました。植物ホルモンのジベレリンやサイトカインなどを用いて、種を形成させないで作られる種なしブドウは小粒種が主に行われてきましたが、現在では巨峰のような大粒種にも見られ、さらに種なしで皮ごと食べられる品種も見られるようになりました。
茎は葉と対生している巻きひげによって他のものに絡まり、長く伸びて成長します。枝には節があり、ジグザグ状に曲がっており、若い枝には毛があります。葉は互生し有柄で、両側に切れ込みが(3~5裂)あるハート形をした円形です。
初夏に葉腋から花柄を出して、5数性、黄緑色の小花を円錐花序として多数付けます。
果実は球形で、多汁の液果が房状に垂れ下がり、熟すと緑色~黄色~紫黒色となります。
果実はそのまま生食とされるほかに、乾燥してレーズン、またワインやブランデーなどのアルコール飲料にしたり、ジュース、ゼリー、缶詰の原料とされます。また葉を食用にすることもあります。この果実の果汁には甘味成分の転化糖が24%含有され、その他酒石酸、リンゴ酸などの有機酸塩、ペクチン、ゴム質、イノシトール、ロイシン、レシチン、フラボノイド、ビタミン類、さらに無機成分の硝酸、硫酸塩、リン酸塩などが含有されています。果皮にはタンニン、ペントザン、脂肪、ろう質など、ポリフェノールが豊富に含まれています。果皮の色素はエニンというアントシアニンの1種です。
果実を発酵させて作られる葡萄酒は日本薬局方に収載されている医薬品で、赤ブドウ酒は興奮性飲料として虚弱症に用い、白ブドウ酒はリモナーデ剤などの製剤原料に用います。さらに発酵後に残った種子からはグレープシードオイルが搾油製造されたり、種子成分のアントシアニジンを健康食品などに抽出する原料とされます。また絞った後の皮などの残渣は肥料に利用されています。果皮や種子にはタンニン、レスベラトロール、フラボノイドなどのポリフェノール類が含有されており、抗酸化作用、ガン抑制、認知症予防などの効果が期待されています。
葉にはフラボノイド、タンニンなどが含まれており、ヨーロッパでは薬用とされています。特に紅葉した葉には収斂、抗炎症作用があり、下痢、子宮出血、口内潰瘍、水腫、目赤、小便不利、できもの等に用いられ、また枝から出る樹液は洗眼薬として用いられます。