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二階堂先生の「食べ物は薬」

ハマボウフウ - 地上部は高級野菜、地下部は生薬として利用

ハマボウフウ
  • ハマボウフウ
  • 学名:Glehnia littoralis
  • 科名:セリ科
  • 英名:coastal glehnia
  • 別名:八百屋防風、伊勢防風、浜防風

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ハマボウフウの根と葉 ハマボウフウの葉と花 ハマボウフウの果実(上)と種子(下) ハマボウフウ ハマボウフウ ハマボウフウ ハマボウフウ

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アジア東部の海岸の砂地に自生する多年生宿根草で、強風にも耐えるように長い直根を砂中に深く伸ばし、その長さは砂地で20cm,砂地から離れた所では40cmほどにもなります。地上茎も根も共に黄色を帯びており、地上茎の丈は短く、全体に白色の長い軟毛を密生しています。葉を砂地にロゼット状に拡げて地上を這うようになり、1~2回3出複葉からなって互生する小葉はやや丸みがあり鋸歯を持っています。その葉は多くの海岸植物と同じように厚く、堅くて光沢があります。

茎の先端はまず1回傘型に分かれ、さらにもう1回短い傘型に分かれて、この先の部分に白い小花を夏頃に密生して付けます。花弁は5枚で、5本の雌しべが花弁と花弁の間から長く伸び出して見えます。

果実は縦に翼状をした肋腺が目立ち、2つの果実が1つのように見える双懸果で細長い軟毛があり、熟すと砂の上に種子を散乱します。

やや赤味を帯びた早春の若芽や新芽を摘んで、刺身の妻にして生食したり、酢の物、酢味噌、膾、汁の実に、根は味噌漬けにして食べます。

成分としてはフロクマリン類が知られ、果実からはフェロプテリンが単離されており、根や根茎などにはクマリン配糖体、精油や苦味質が含有されています。

夏の土用の頃に掘った根と根茎を乾燥させたものが浜防風(はまぼうふう)と呼ばれる生薬で、ボウフウ Saposhnikovia divaricataの根と根茎を乾燥させた生薬である防風(ぼうふう)の代用薬として桂枝芍薬地母湯(けいししゃくやくちもとう)、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)や十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)などの漢方処方に配合され、使われることもあります。 浜防風には抗アレルギー作用や解熱作用なども動物実験で認められており、発汗、解熱、鎮痛、鎮咳、強壮薬などとして風邪薬に配合されています。

また正月の屠蘇散(とそさん)に加えられたり、浴湯剤として使えば、体を温め湯冷めをしないとされています。さらに家庭薬や婦人病の薬として配合されることもあります。明治時代から栽培もされており、八百屋の店先に高級野菜として並べられたこともあって八百屋防風の名前が知られています。


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