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二階堂先生の「食べ物は薬」
ホウキギ - 乾燥果実は「畑のキャビア」と呼ばれる「トンブリ」
- ホウキギ
- 学名:Bassia scoparia .
- 科名:ヒユ科
- 英名:summer cypress, Mexican fireweed, mock cypress
- 別名:ホウキグサ、ハハキギ、ニワクサ、トンブリ、イソホウキ、バーニングブッシュ、箒木(ホウキギ)
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ヨーロッパ、中国原産と言われ、日本へは中国から渡来し平安時代の10世紀初めにはすでに栽培されていたと言われています。
1年草で茎は約1m位で細かく枝分かれし、秋には葉とともに色が緑から赤くなり、こんもりと繁り、球形から楕円形になります。
互生する葉は無柄で細くて線状のひ針形をしており、先端が尖っていて全縁です。
夏の頃に葉の付け根から多数の黄緑色をした小花が束のように出て、秋には緑褐色をした扁平な星形をした小果が実ります。
若芽は茹でて浸し物や和え物として食用とします。また成熟した果実(種子)は水に漬けて保温して発芽直前のものが「トンブリ」と呼ばれ、秋田名物とされています。納豆、とろろ、大根おろしなどと混ぜ、醬油味で食べるのが美味しい食べ方とされています。また「トンブリ酒」も知られており、滋養強壮、利尿や疲労回復の目的で飲まれています。「トンブリ」はその形から「畑のキャビア」とも呼ばれて市販されています。
成長して硬くなった茎や枝は乾燥し束ねて草箒(くさぼうき)を作るのに用いられます。
果実を乾燥したものを生薬「地膚子(じふし又はちふし)」と呼び、滋養強壮薬とされる他、皮膚のかゆみ、湿疹、蕁麻疹などにも有効と言われています。また民間薬的には脚気や下痢に煎じて服用する方法が知られています。このように果実には強壮作用や利尿作用などがあるので、「トンブリ」としての食べ過ぎには注意が必要です。
和名の「ホウキギ」は茎を乾燥して、今ではあまり使われていませんが、古くから箒に使われていたことから名づけられたものですが、学名の「scoparia」が「ほうき状の」意味であることも興味あることです。