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二階堂先生の「食べ物は薬」
ヒレハリソウ - 長期間の過剰摂取では肝障害が知られ、注意が必要
- ヒレハリソウ
- 学名:Symphytum officinale
- 科名:ムラサキ科
- 英名:comfrey
- 別名:コンフリー、玻璃草(はりくさ)
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ヨーロッパからシベリア地方原産の多年草で、日本には1958年にイギリスからオーストラリアを経て牧草の目的で導入され、その後、薬用や食用として栽培されて利用されてきました。若い葉は柔らかいので、摘んで浸し物、炒め物、天ぷらや汁の実に使われていました。
近年、長期間にわたり過剰に食用とした場合に、肝障害を引き起こすことが知られており、平成16年よりヒレハリソウおよびこれを含む食品の販売は禁止されています。家庭での摂取についても十分な注意が必要です。
茎の高さは70~90cmで全体に白い粗毛が生えており、翼が見られます。
葉は下の方では大形の卵状ひ針形をしており、葉柄がありますが、上の方の葉には葉柄が無く、基部は茎に翼のようにつながっています。
花は夏頃に、茎の先端が枝分かれして、その先の方に小さな釣鐘状をした花が咲きます。花の色は白、黄色、紫色や桃色などと種々あり、短い花柄があり下向きに咲きます。 根はごぼう状をしており、分枝します。この根や根茎を掘り取り、水洗、細切して陽乾したものを民間療法の生薬としてシンフィツム根、あるいはコンソリダ根と呼び、ヨーロッパなどでは止瀉薬として下痢、貧血、強壮、低血圧、糖尿病などに煎じて用いられていました。
成分としては comsolidine や symphto cynoglossine などのアルカロイドやタンニンなどが知られています。
また強心配糖体を含有するジギタリス Digitalis purpurea の葉とよく似ていることから、ヒレハリソウと間違えてジギタリスを誤食して中毒を起こす例が知られています。ただヒレハリソウの葉には剛毛があるのに対して、ジギタリスは軟毛であり、苦い味がすることから区別できますが注意する必要があります。