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二階堂先生の「食べ物は薬」
モモ - 婦人病に用いる代表的生薬
- モモ
- 学名:Prunus persica
- 科名:バラ科
- 英名:peach tree
- 別名:桃
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中国原産の落葉果樹で、日本でも古くから栽培されています。
早春に淡紅色又は白色の花を咲かせ、果実(石果)は夏に熟し、有毛で浅い溝があります。
花は観賞用とし、果実には果肉の色により白桃系と黄桃系とがあり、黄桃は缶詰にして、また白桃は主として生食用にされます。
果肉の糖質は大部分がショ糖で、酸味はリンゴ酸、クエン酸によります。桃の皮が剥がしにくいときには、お湯にくぐらせてから氷水で冷やすと簡単に剥ぐことができます。
開花前後のつぼみを採取し乾燥したものを白桃花(はくとうか)と称し、クマリンを含有し、利尿、峻下剤(しゅんげざい)として水腫、便秘に用います。
成熟した果実から種を取り、更に外側の固い殻を割って中の種(仁)を取り出して乾燥した種子は桃仁(とうにん)と言い、アンズの種子の杏仁(きょうにん)と同様に、青酸配糖体のアミグダリンを含有しますが、漢方では桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、疎経活血湯(そけいかっけつとう)などいろいろの処方に配合され、婦人病に用いる代表的な生薬で、消炎性浄血薬として産前産後、血の道症、月経不順、月経困難、更年期障害などに用います。
新鮮な葉を水洗、陽乾したものを煎じて布に浸して湿布するか、布袋に入れて浴剤として子供のあせもや湿疹の薬として用いることは有名ですが、青酸ガスが発生するので換気には十分に注意する必要があります。
緑葉と樹皮は媒染剤を用いた染料としても用いられます。また花や果実を紋様化した桃紋は長寿の象徴、魔除けの意味で能装束や子供服の紋様や家紋として用いられています。
花や果実をたくさん付けるので「木」に「兆」で「桃」の漢字が付けられたとも言われています。