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二階堂先生の「食べ物は薬」

マコモ - 体内の水も清浄化

マコモ
  • マコモ
  • 学名:Zizania latifolia
  • 科名:イネ科
  • 英名:zizamia wildrice
  • 別名:真菰 菰 薦 カミツグサ マコモグサ

関連画像

マコモの葉 マコモの果実(ワイルドグラス) マコモの根と根茎 マコモの花穂 マコモ マコモ

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東アジア原産で沼地、湿地、河川などに大群をなしている大型の多年生水生植物です。京都近郊での栽培記録や千葉県船橋市の高根木戸貝塚での縄文中期竪穴からマコモの種子が見出されており、我が国にはイネより以前に渡来していたものです。北米大陸東部のカナダ、アメリカ五大湖近辺には同属の3種(Z. aquatica, Z. palustris, Z. texana)が知られていますが、Zizania属は現在これらの4種しか知られていません。

水中で成育する太い地下茎の節の部分から芽が出て新しい株を形成し、短い地上茎の先端から葉鞘が伸びます。

葉はその先に線状披針形で、葉縁がザラザラとした幅が2,3cm以上、長さが2~3mにもなります。 花は8~9月頃に円錐花序が出て、上部に紫色の雄穂、下部に淡緑色の雌穂が付きます。果実は多量の水分を含んで、新鮮なものは緑色がかり、急速乾燥すると茶色となります。

熟すと非常に落果しやすく、また同時に熟さないため収穫するのには不便でした。そのため縄文時代には主要な穀物とされていたものが、後にイネに代えられたものと思われます。現在我が国で栽培されているマコモタケができる品種では花穂は出来ません。これは黒穂菌がマコモに感染すると黒穂菌がインドール酢酸を分泌して、その刺激により花穂の原基が消失してしまうためと考えられます。ただまれにマコモタケを形成する株に花が付くことが見られます。

水生植物のマコモは農業用水路にも繁茂していたために、田植の時に刈り取りをする必要があり、農家にとっては有害な植物とされていました。1961年にできた農業基本法により用水路だけでなく、湖沼や河川の護岸をコンクリートで固めてしまうことになり、マコモをはじめメダカやドジョウなどの水生動物相をも含めて姿を消してゆくことになりました。現在では伊豆沼、諏訪湖や琵琶湖での水質浄化対策にマコモの植栽がなされています

マコモはholy plantとして出雲大社の神事で敷物や注連縄に使われたり、伊勢神宮、春日大社、宇佐神宮や薦神社などの薦枕などとして古くから使われてきています。神社の屋根も現在のような茅葺きではなく、マコモで葺かれていたようです。

北米で唯一の固有穀物であるワイルドライスはアメリカインディアンの採集食糧であり、収穫感謝祭の七面鳥のお腹に入れるスタッフィングやスープ、特別なディナーなどに用いられたりしています。歯切れの良さ、風味、栄養価などに優れています。

縄文時代には菰米(こもまい)と呼ばれ、アサの実と共に主食とされていました。古くは葉、根、果実などは解熱、整腸、止瀉、利尿、解毒などの薬草として胃腸病、胸焼け、火傷、蛇毒、二日酔いなどに有効とされていました。

マコモの葉はビタミンA,C,E、葉酸などの含量が高く、必須アミノ酸や旨味アミノ酸も豊富で食物繊維に富んでおり、また活性酸素吸収能力(ORAC)の値も他の野菜等に比べ格段に高い値を示し、抗酸化力に優れています。これらの点に着目して現在では麺類、菓子類に、さらに飴などに入れたり、お茶としても使われています。

マコモの葉を乾燥した束を部屋に置けば室内空気が清浄化され、シックハウス原因物質濃度を著明に減少させます。またコウゾや糊料などを全く加えないで、この葉だけで和紙を作ることができます。マコモの葉やマコモ和紙には消臭効果、食品の鮮度保持効果、害虫忌避効果なども認められています。

マコモ乾燥葉の粉末を発酵させた飲料は健康飲料として100年以上前から市販されています。


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