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二階堂先生の「食べ物は薬」
マイタケ - 食物繊維や栄養成分豊富な、生食禁止のキノコ
- マイタケ
- 学名:Grifola frondosa
- 科名:トンビマイタケ科(担子菌類)
- 英名:hen of the woods, ram’s head, sheep’s head, maitake
- 別名:舞茸、クロブサ
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暖温帯から温帯北部にかけて世界中に分布しています。ミズナラ、ブナ、クヌギなどのブナ科植物の根株心材に寄生する木材腐朽菌で子実体が直径50cm以上、重さ10Kg以上になる巨大な物も見られます。日本では秋に宿主樹木の根元に幾年にもわたって繰り返し発生します。
基部が太い柄から枝分かれして、へら状の笠が重なるように付き、表面が灰色~黒褐色で、裏側には白色の細かい穴が密生し、その内側に胞子を付けます。
歯切れも良く旨味が強く、生食以外のほとんどの調理法、特に鍋料理、天ぷらや炒め物なとに利用されます。マイタケプロテアーゼというタンパク質分解酵素を多く含んでいるため茶碗蒸しに生のまま用いると固まらなくなりますが、細切した生のマイタケを肉にまぶして使えば固い肉も軟らかく旨味が増して食べられます。
ビタミンB2、D、ナイアシンなどのビタミン類、亜鉛、カリウム、リン、マグネシウムなどのミネラル類や食物繊維に富んでいます。食物繊維を構成する多糖類のβ-グルカンや、これから熱水抽出されたMDフラクションなどが免疫力を高めるなどの効果や、アポトーシス誘導効果などが報告されています。その他、血糖下降作用や抗酸化作用などを示す成分が含有されていることも知られており、そのためエキスをサプリメントとして販売されているがヒトでの科学的データーは十分とは言えません。食用に際しては必ず加熱することが必要で、生食による中毒を起こす場合があります。
野生品はごく少量しか採れないため高価で「幻のキノコ」とも言われています。1970年代頃から人工栽培が日本各地で研究され、1990年代にはオガクズを用いた菌床栽培が普及し、現在では安価に市場に流通しています。名前の由来もこの野生品の子実体の姿が人々が群舞しているからとする説と、高価な野生品を見付けた人が喜んで舞い上がったとする説とが知られています。
近縁種であるサルノコシカケ科のチョレイマイタケ Polyporua umbellatus の菌核は「猪苓(ちょれい)」と呼ばれる日本薬局方収載の生薬で消炎・利尿薬、解熱薬として用いられたり、漢方処方の五苓散(ごれいさん)や猪苓湯(ちょれいとう)などに配合されています。