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二階堂先生の「食べ物は薬」

ヤブツバキ(ツバキ) - 種子から採れる不乾性のツバキ油は食用や薬用に広く利用

ヤブツバキ(ツバキ)
  • ヤブツバキ(ツバキ)
  • 学名:Camellia japonica
  • 科名:ツバキ科
  • 和名:ツバキ
  • 英名:common camellia
  • 別名:ヤマツバキ、ツバキ

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ヤブツバキ ヤブツバキの花と葉 ヤブツバキの果実と種子 ヤブツバキの果実(横断面) ヤブツバキ果実 ヤブツバキ ユキツバキ

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日本原産で本州、四国、九州、沖縄などの主として海岸地帯に自生する、半陰樹性の常緑高木です。
 灰白色の幹で、互生する葉は厚く、表面は光沢のある濃緑色をしています。
 花は冬から春にかけて咲きますが、紅色の花弁をして基部は互いにくっついており、多数の雄しべは基部が輪状に付着して筒状をなしています。雌しべは1本で先端部が三つに分かれており、花が終わると花弁と雄しべは基部がくっついているため、まとまって落ちます。花の基底部に多量の蜜を分泌し、メジロなどがこれを吸いに来ることにより受粉されることから鳥媒花の代表的なものとされています。野生品のヤブツバキでは花が一重の紅色で、やや下に向かって開きますが全開しません。多くの園芸品種では花の色、花の形、大きさなどに多くの変化が見られ、多数の品種が知られています。花を採り根元の方から甘い蜜が吸え、蕾や6~7分咲きの開きかけた花に薄く衣をつけて天ぷらに、花弁をさっとゆがいて水にさらしてから、よく絞って三杯酢に、またホウレンソウを彩りよく盛り合わせて浸し物や酢の物にして食べます。生のまま花を丸ごと天ぷらにすると渋味もありますが花蜜由来の甘味が感じられます。
 果実は褐色で4cm内外の球形で、厚い果皮を持っており、成熟すると三分裂して三稜形をした黒褐色の種子を現わします。
 種子から採った油はコシが強く、揚げ物が軽く、脂っこさがなく仕上がります。オリーブ油と組成が良く似ており、抗酸化性で悪玉コレステロールを減らす作用があるので健康に人一倍気を使っていたとされる徳川家康もツバキ油を使った天ぷらをよく食べていたと言われています。
 花を天日乾燥したものが生薬の山茶花(さんちゃか)で、熱湯を注いで滋養目的の健康茶として飲まれます。葉は山茶葉として、そのエキスを止血薬に、また関節痛や寝違えに服用したり、毒虫に刺された時に若い葉をすり潰して塗布します。種子を加熱せずに圧搾して採った油がツバキ油でオレイン酸グリセリドの脂肪油を約60%含有しており、不乾性油でマイナス15度に下がらないと凝固せず、粘着性が少なく、空気酸化による酸化物を生じないなどの特性を持っています。この特性を生かして精密機械油、軟膏基剤をはじめ頭髪用、育毛用や燈火用として利用されます。材は堅く、緻密で摩耗に強いので工芸品や櫛、楽器、将棋の駒などの細工物に利用されます。木や枝からの木灰は日本酒醸造では最高のものとされており、アルミニウムを多く含んでいるため染色用にも用いられます。種子から油を搾った糟は川魚などを麻痺させて捕る毒もみ漁に使われたこともあります。
 成分として葉にはタンニン、クロロフィル、花にはアントシアニン、糖類、種子には脂肪油、サポニンなどが知られています。
 日本原産のツバキとしてヤブツバキと共に知られているユキツバキは岩手県胆沢郡若柳村(現在の奥州市)猿岩で1945年6月に本田正次先生により発見され、サルイワツバキ Camellia rusticanaと命名され1947年に学術誌に記載発表されたもので、現在ではすでに知られていたユキツバキの名前でも知られています。東北~北陸地方の日本海側の多雪地帯に自生しており、雪が溶けかかる頃に開花するツバキで、私も長野県小谷村の鎌池でブナ林の下に咲いているのを6月初めに見ることができました。
 ツバキの名前の由来については諸説ありますが、「津葉木(つばき)」の名前が付けられたとする説が有力です。


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