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二階堂先生の「食べ物は薬」

(セイヨウ)リンゴ - 1日1個のリンゴは医者を遠ざける

(セイヨウ)リンゴ
  • (セイヨウ)リンゴ
  • 学名:Malus pumila
  • 科名:バラ科
  • 英名:apple
  • 別名:林檎、苹果

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リンゴの果実 果実縦断面 果実横断面 果実縦断面(左)と横断面(右) リンゴの花 リンゴ ヒメリンゴの実 リンゴの果実 リンゴの花

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中央アジア原産の落葉高木です。明治の始めに中国から渡来した林檎(りんきん)と蘋果(ひんか)は、その後、コーカサス地方原産で別種のセイヨウリンゴが輸入されると倭(わ)リンゴ、地(じ)リンゴと呼ばれるようになりました。「その果実が甘いので禽(きん、小鳥のこと)が、その林に来る」ことから林檎(りんきん)と言われたと中国の古書にあり、この林檎を音読みにした和名から転じて、現在リンゴに当てられている漢字の林檎(りんご)になったと言われています。

明治時代になって多数のリンゴの品種が輸入され、各地で栽培が盛んに行われるようになって、現在では7500種以上の品種が栽培されています。世界で最も多く生産される品種がフジで年間1230万トン、紅玉(英名:Jonathan)は1800年頃、ニューヨークの農園で偶発に実生で誕生した品種で、1900年に日本名が付けられました。この紅玉は深紅の小玉で酸味が強く、芳香のある果肉のきめが細かい品種で加工用途が多いものです。

晩春に葉が出るのと同時に淡紅色の5弁の花が咲きますが、開花直前の花摘みや結実後の摘果作業が必要とされています。リンゴの果実は真性の果実ではなく(子房以外の部分が食べられる果実の)偽果(ぎか)で、花托(かたく)と言われる部分を食用としています。

果実には芳香があり、リンゴ酸による甘味と、クエン酸による爽やかな酸味があって美味しく、生食のほかには、煮てジャムやパイにしたり、焼きリンゴ、ジュース、スライスした干果やリンゴ酒などにします。切り口や摺り下ろした時に褐色になるのはフェノール性物質が変化する為なので、塩水やレモン汁などに晒す方法などで防ぐことができます。家庭での保存は密閉して水分の蒸散を防ぎ、冷暗所に置くのがよいでしょう。

約85%が水分で、カロリーも低めですが、栄養成分としてはビタミンC、カリウム、水溶性食物繊維のペクチン(皮の部分に多い)などが豊富に含まれています。またカテキン、フラボン配糖体、プロシアニジンなどのポリフェノールを多く含んでいるので抗酸化活性が高い果物として知られています。動物実験ではポリフェノールを多く含んだリンゴ乾燥物を与えた群はコレステロールと中性脂肪の低下作用が大きく認められています。幼果に多く含まれるこのポリフェノールを抽出した商品もあり、口臭、高血圧、虫歯などに効果があり、美白作用などもあると言われています。

An apple a day keeps the doctor away : 1日1個のリンゴは医者を遠ざける。と言う諺があります。昔から摺り下ろしたリンゴは離乳食、病人食、病後の回復食としてもよく用いられています。フィンランド、イギリス、オランダなどでの疫学調査ではリンゴを食べることにより各種のガン、心臓病、脳卒中、アトピー性皮膚炎、肺疾患などのリスクを軽減することが報告されています。西洋では花と葉は眼病に、若枝は痛風に、芽は頭痛や消化不良に、木の皮は強壮にと果実以外の部分の利用も知られています。

リンゴは熟成する時にエチレンガスを発生させるので、それを利用して植物の開花を早めたり、追熟しにくいキウィ、バナナ、オレンジなどの熟成を促進させたり、ジャガイモの発芽抑制などへの利用もなされています。


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