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二階堂先生の「食べ物は薬」
ラッキョウ - 冷え、不眠、低血圧に寝る前の薬酒を
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- ラッキョウ
- 学名:Allium bakeri
- 科名:ユリ科
- 英名:shallot, rakkyo
- 別名:オオニラ、サトニラ、於保美良(おほにら)、辣韮(らっきょう)
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中国、ヒマラヤ地方原産で、日本各地に栽培される多年性草本です。日本へは平安時代の頃、はじめは薬用植物として中国から渡来したとされ、江戸時代になって野菜として栽培されて食用とされました。
葉は鱗茎から叢生し、葉身は狭線形をして30~60cmと長く、尖っており、冬も枯れないで柔らかな中空をとなっており、その断面は五角形をしています。6月頃、暑くなると共に葉が枯れて、晩秋になって葉が枯れた元の鱗茎から花茎を出します。元の鱗茎に新しい鱗茎が腋生します。
花茎も中空で茎頂に6~30個の紅紫色の小花が下垂し、まばらな散形花序になります。花は完全には開かないで、6枚の花弁からなる球状の鐘形をしています。
果実を付けることはほとんどなく、鱗茎によって増殖します。
鱗茎は球形をしており、外側の鱗葉は白色で、乾燥すると半透明で薄い膜質となっています。
生の鱗茎は主として食用とされ、特有の強い臭いと辛味があり、これらはニンニクやネギと同じネギ類に共通のアリル硫化物によるものです。
アリル硫化物のアリシンが多く含まれており、この成分によってビタミンB1の吸収を助ける効果が知られており、疲労回復、血液循環改善、保温、抗菌、整腸などの効果が期待されています。また薬酒にすることで冷え症、不眠症、低血圧症などに就寝前に飲むことで効果があります。生の鱗茎をすり潰した汁を水虫、たむしなどに塗布して使うことも知られています。
鱗茎を主として塩漬け、甘酢漬け、醤油漬けとして食べますが、カレーライスの薬味としてはよく知られています。日本ではこのように主に漬物として食べるのが一般的ですが、中国では煮て食べる方が多いようです。
生でも酢漬けでも炎症やアレルギーを抑える効果があるという実験結果も報告されていて、その効果は生の方が強いことから、これらの効果は辛味成分に強くあると言われています。
タマネギからの変種であるシャロット(英:shallot、仏:Eschallotte)はフランス料理のソースに香辛野菜として用いられますが、日本で一般に「エシャロット」として市販されているものはラッキョウを若取りしたものが多いとも言われます。
鱗茎を湯通しして水洗後、乾燥させたものが生薬の薤白(がいはく)で、健胃整腸薬として内服したり、火傷に外用します。民間では心臓病にも効果ありとされます。
成分としてはアリル硫化物の他に、水溶性食物繊維、サポニン、フィトステロールやフラボノイドなども知られています。主な栄養成分としては糖質の他、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、鉄などのミネラルが含まれています。
漢方では薤白湯(がいはくとう)、栝楼薤白半夏湯(かろがいはくはんげとう)や枳実薤白桂枝湯(きじつがいはくけいしとう)などの処方に配合されて用いられます。