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二階堂先生の「食べ物は薬」
ワラビ - 世界中に分布する日本で最もよく知られている山菜
- ワラビ
- 学名:Pteridium aquilinum var. latiusculum .
- 科名:コバノイシカグマ科
- 和名:ワラビ
- 英名:bracken
- 別名:ササワラビ、ヤブワラビ、ワラベ、ホダ、ホトラ
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東アジア、北米、ヨーロッパなど、世界ほとんどの地域に広く分布しており、日本各地の日当たりのよい原野などに大群落を作る生活力旺盛な多年生のシダ植物です。若い葉の時期に日本やアメリカ、カナダの一部地域で食べられている代表的な山菜の一つです。
地下10~30cmの深さにある根茎は極めて長く横走し、黒色で肉質の太さが5~10mmの多年生です。春に若葉を出し、開ききると大形の葉に展開し60cm~1m、時には2mにもなります。葉の外形は卵形三角状でやや厚く3回羽状に分枝し、裏面の葉縁に胞子のうを多数付けます。若い新芽を採り、先端の握り拳様の巻き葉を摘んで除く地方もあるが(この部分が特に美味しいとも言われている)、葉柄の柔らかい部分を灰汁や重曹でアク抜きをして食用とします。煮物、浸し物、和え物、酢の物や汁の実などにして食べるほか、塩漬け、味噌漬け、醤油漬けや粕漬などにしたり、乾燥して保存します。
生のワラビには発がん性物質が含有されているほか、ビタミンB1を分解する酵素が入っているので牧草としては利用されず、草食のペットが誤食しないようにする注意が必要です。
地下茎は破砕して水に晒してでんぷんを採取して、乾燥したものがワラビデンプン、ワラビ粉(こ)で昔は救荒食料とされていました。わらび餅、わらび団子などを作るときにはワラビ粉に他の穀類、豆類などを加えて作っていました。またワラビ粉は糊の原料として提灯などの和紙を貼るために用いていました。
大きく広がった葉は山小屋などでの敷物として利用したり、根茎を樫の棒で石の上でたたいて砕き、水に漬けてでんぷんを採った後に残った厚膜組織が縄として用いられました。この縄はシズラ縄と言われ、強度か高く、耐水性にも優れており、家や蔵の土壁の下地の竹格子を留めるために用いられる木舞縄(こまいなわ)に使われていました。
地上部を乾燥したものを蕨葉(けつよう)、地下茎を乾燥したものを蕨(けつ)、狗脊(くせき)などと呼ばれ古くから薬草として利尿、消炎を目的として使われています。また葉柄を擂り潰した汁を切り傷や虫刺されなどに塗布する方法も知られています。
成分としてはアミノ酸(ロイシン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸)やフラボノイドなどが知られています。