天然素材サプリ

　P. psylliumやP. indica種は、フランスやスペインなどのヨーロッパ地中海地域で栽培されており、それらの種子は、長さ2～4mmで黒褐色を呈することからブラックサイリウムという商品名で呼ばれている。

　一方、P. ovata種はイランやインド、パキスタンなどで栽培され、種子が淡黄灰褐色であることからブロンドサイリウムと呼称されている。インド産ブロンドサィリウムは粘質物(ガム)含量が高いことから優良品として世界各地で広く用いられている。

　オオバコ科植物の種子は、古くからヨーロッパや中近東およびインド地域をはじめ、後述の中国や日本などの伝承および伝統医学において薬用とされてきた。 今日、ブラックおよびブロンドサイリウム種子とブロンドサイリウム種皮は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどで薬局方に収載されている。

　サイリウム種子や種皮には慢性の便秘の改善、整腸、止瀉、鎮咳、消炎、利尿効果があり、特に便秘の緩和のための膨潤性緩下剤として利用されている。

　最大の消費国といわれるアメリカでは、種子を摂取することによって心疾患の危険要因を減少させるというヘルスクレイムも許可されている。ドイツの公定委員会Commission Eのapproved herbとして収載されており、慢性便秘や腸の過敏症に適用されている。特に痔や肛門裂傷、直腸手術後の患者に好ましいとされている。

　日本では、サイリウム種皮またはサイリウム種皮由来の食物繊維と称して、取り過ぎたコレステロールの吸収をおさえ、おなかの調子を整える機能があって、「コレステロールが高めで気になる方」や「おなかの調子が気になる方」の食生活の改善のための特定保健用食品として利用されている。

　サイリウム種子には、粘液性多糖体(10～15%)、脂質(5～10%)、タンパク質(15～20%)のほかに、植物ステロール、トリテルペン、イリドイド配糖体などが知られている。P. ovata種子の多糖体は、β1－4結合のキシランを主鎖とする分枝構造を有していると報告されている。種皮の粉末に水を加えると容積比で約三十倍に膨張してゼラチン状になり、潤滑剤として腸内容物の移動をスムーズにする。

1. 二重盲検によって125人の糖尿病患者に、P. psylliumを一回5g、1日3回、6週間投与したところ、血糖値、総コレステロール値、LDL-コレステロール値および中性脂肪(トリグリセリド)値を有意に減少し、HDL-コレステロール値を有意に増加した。また、この際に副作用は認められなかった。
2. サイリウム種皮を主要成分とする食品を、軽度～中等度の高脂血症を有する成人(血中総コレステロール220mg/dl以上、または中性脂肪150mg/dl)26名に1回6g、1日2回、6週間投与したところ、全員の総コレステロール値が有意に低下した。
3. 整腸作用に関する臨床試験として、サイリウム種皮を主要成分とした食品を、硬便または便秘症の女性15名のグループと軟便や下痢便を呈する成人12名のグループにそれぞれ2週間、1日2回摂取させたところ、前者では顕著な便通改善効果が認められ、後者では排便回数の減少と便性の改善が認められたとの報告がある。

　サイリウム種子や種皮の副作用としては、まれにアレルギー反応があり、特に粉末や液体製品に認められている。
　また、医薬品や食物と同時に服用した際に、腸管吸収が遅れることがあり、医薬品を服用した場合には、少なくとも一時間以上の間隔をあけてからの摂取が必要とされている。

素材解説・整腸

サイリウム種子

参考：シャゼンシ