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女性 80歳代 
 とても小柄な女性が杖をつきながら入って来る。脇をお嬢さんが抱えて転ばないようにする。なんとも微笑ましい光景だ。二人ともどことなく品があるから、応対していても心地よい。ただご本人の苦痛やもどかしさは、十分伝わって来る。その方が今日、本音を吐露された。
 腕は上がらない。手術していないほうの膝が痛い。腰が痛い。脊柱管狭窄症で両方の足がしびれる。失禁。夜間1時間ごとに尿漏れで目が覚める。というような症状で1か月前から漢方薬でお世話をしている。1か月の服用で、足のしびれが少し軽くなった。少し元気になり家事をするのが大義ではなくなった。夜間の尿漏れが1時間半に延びた。顔に血色が出たという改善の兆しが出ている。
 やっとのことで一人住まいを維持しているが、このくらいの改善では許してもらえない。20年近い闘病歴で、本人にとっては初めて治療効果と言うものを実感できたみたいで、希望が出てきたらしい。
 そこで出た言葉が「病院に恨みを持っている」と言う言葉だ。とてもそんな言葉が出てくるようには見えない方だから、そのギャップに驚いたが、膝の手術以外は、延々と痛み止めを飲まされていただけだったらしい。おそらくそのことを後悔して出た言葉だと思う。専門病院にできなかったことを、僕みたいな田舎の薬剤師に期待してくれているから、実力以上の結果を出さなければならない。そこで筋骨を強くして、元気になっていただける漢方薬や天然薬を服用してもらっている。その上ぜひやっていただきたい運動も実演した。
 整形外科分野では、いわば素人にすぎない薬局が出来たことを、20年前にしてもらえなかったことが悔しいのだろう。たまたま僕の所に来て、自然治癒力を利用するような治療に巡り合い、少し改善したから、過去の治療が悔しかったのだろう。「病院は命を救うのは超プロだけれど、人を心地よくするようなことは、ちょっと苦手かもよ」と言って慰めた。
 お百姓も重労働もしたことがない人が、どうしてここまで骨格系の不具合で苦しむのだろうと不思議だが、痛みを抱えてこれから何年過ごさなければならないのだろうと考えると、とても他人事には思えない。特に女性の場合は長寿だから、80歳を超えているこの方でもあと10年痛い痛いで過ごさなければならないかもしれない。
 長寿社会には、他人事で済ませるような治療では救われない人が溢れている。痛みを体験した人でないと治せないトラブルは多い。痛み止めと言う、受け身だけで乗り切れるほど余生は短くはない。


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