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<症状>
無気力感 憂鬱落ち込みやすい 孤独感と不安緊張
仕事のストレス(精神的なもの)でその後に特にひどくなる(甲状腺全摘あり) 朝の外出が困難 低量ピルで生理も不順 花粉症 現在服用薬 チラージンとルナベル(低量ピル) 目が腫れる 甲状腺ホルモン量↓で一時量を増やしたチラージン服用中

<既往歴>過去 甲状腺癌手術

<生理環境>腹痛 イライラ不安 生理不順 白色帯下が多い LH ↑

<愁訴>
四肢倦怠 疲れやすい 四肢冷え 寝つきは良いが多夢 朝が起きにくい 面~下肢浮腫みやすい 髪の毛荒れる 食後の胃もたれ 多食 便秘がち(残便感) 肩こり(縦横)

<原穴>陰陵泉 太衝

<腹>右脇緊張 心下痞鞭 任脈硬結

<脈>細 やや弦

<舌> 


290214SR1



290214SA2



<総合弁証>

舌象は紫紅脹舌で中央は顆粒状で舌肉がやや硬く痰滞~気滞~血滞による邪実象も舌前の茸状乳頭退縮傾向で営血虚損へ向かっている。心下痞硬で正中線状の任脈が臍(神闕)まで硬結して積滞が腎経の咽喉部の甲状腺まで積結を生じた経緯があり。
脈は細弦で 細弦で陰寒の邪による積聚を提示している。左関脈が細で肝陰枯で足の太衝穴の圧痛もそのため。甲状腺低下からの不安気鬱も肝虚によるが弦脈も兼ねているため、絡脉が拘急しやすく、心下から臍まで硬いのもそのためで右脇緊張から肝の疏泄を失い、経脈拘束して気血壅遏するため、情緒緊張や情鬱などいわゆる肝気欝結を生じやすい。
舌裏静脈怒張は、痰秸気滞が久しく血分まで影響が出ている状況

<治法>疏肝解欝 軟堅散結(化積) など

湿度が高く、気温がジリジリと高くなってきて気持ちも身体もうだるような時期ですね。

そんな高温多湿の季節を持つ日本では、漢方の起源である中国の気候と違い、慢性疾患の原因には大きな偏りがあると臨床経験上感じています。

その原因としては先に挙げたように海に囲まれている環境から、湿度が高い状態が続くことももちろんですが、内側から湿邪を作ってしまう習慣も多く見られます。

これは日本に限らずですが、便利になった現代が作り上げている部分が大きいように思います。前にもいろいろと書いていますが、今の時期で体調の悪さを感じている人も多いので、まとめて書いてみようと思います。

基本的には内側から原因を作っているということで、食事の側面が一番大事です。ですが、それは食べているものも大事ですし、時間も大事、食べ方、全体的に現代の食事は湿邪を作るために簡略化されているのではないかと思うほど、今多くの人が楽している食事一つ一つが問題となっています。
まずは食べるものに関しては、冷蔵庫などの食料の保存方法の改善、作物の作り方の研究などにより、季節関係なく、また地域も関係なく色々と食べられるようになっています。これは好きておいしいものをいつでも食べられるという面ではとても素晴らしい進歩だと思いますが、逆に言えば自然に反しているものを食べています。これにより、本来水を解毒する食べ物を食べなかったり、身体を温める時期なのに体の中から冷やしてしまう性質のものを食べたりと、身体の中で矛盾が生じてしまいます。一日の食事はそれほどの影響はないですが、日々の積み重ねが慢性疾患の原因となってしまうのです。

次に、これも科学の進歩によるものですが、特に日本に多いとされますが、自動販売機などがそこかしこにあり、コンビニも多く、ドラッグストアでもどこでもペットボトルなど置いていたり、水筒を持ち歩くことも普及したり、電気ケトル、コーヒーメーカーなどの、水分を飲むことがとても簡易的になっています。単純に水分摂取量が多く、胃腸が水浸しになってしまい、またその状態は食事の際に消化吸収を重たくしてさらに胃腸に水分を滞留させてしまうとう悪循環を生みます。
また、そういった簡単に水分を摂ることができる今、食事の際もお茶やジュース、水などを飲みながらご飯を食べている人も、案外多くおられます。水を飲むことだけが悪いわけではないですが、食事中に水を飲む理由のほとんどは噛むことをめんどくさがっていることからで、自分の唾液で嚥下していなく、消化酵素などが上手く分泌できず、消化にも負担になり、胃腸に汚れが溜まりやすくなってしまいます。

また食事で、ここはとても大事なところですが、自分も出来ていないことも多いところですが、食事の時間です。朝昼夕と食事を食べますが、夜の食事は現代は遅くなってきていることが普通になってしまっています。夜遅すぎると、寝る時間に胃腸にも食べ物が残っている状態で、せっかく自分を元気にするため、疲れを取るために摂っている食事が汚れになってしまい、元気を補えず、疲れやすくする原因となってしまっています。

基本的に食事は食欲がある人はもちろん、食欲があまりない人ももちろん毎日ご飯を食べています。それは食べないと身体がもたないから食べているはずで、特に朝昼は食べる時間が十分ないことが多いことから夜に偏って多い方が多いはずです。つまり夜の食事を一日のエネルギー摂取の根本としている方が多いと思いますが、その食事が逆に自分の身体を傷めつけているのです。自分の身体に良いことをしていると思っていることが負担になっているということです。
女性であればよく聞く言葉でもあると思いますが、お肌やホルモンのゴールデンタイムは22時~2時と言われていると思いますが、その時間に寝ることは無理でも胃腸を休めることを大事にしていきましょう。これは僕も無理ですが18時頃に食べられるのがとてもいいのですが、やはり無理な方も多いので時間は自分の中でできる限りの早い時間を心がけるということや消化に負担のかからないものを食べる、昼の比率を高めるなどで対応しましょう。

食事内容に関しては添加物など言い始めたらきりがないですが、これは確実に避けた方が良いというもの。それはトランス脂肪酸です。これは企業側には大変良いもので、腐りにくく、見た目も良い状態を維持できるものですが、逆に人間の身体に入ったときにも分解しにくく、消化吸収代謝できにくいもので、身体に残ってしまいます。日本では全く制限されていませんが、アメリカではトランス脂肪酸含有の製品は規制されてしまったほど、世界的には問題視されています。現在の日本では全く問題ないといわんばかりに色々なものに入ってしまっています。

最近よく飲み物などでも見かけるようになったトクホ(特定保健用食品)ですが、これらも内容物を見ると「どうなのかな?」と思うものも多いです。体にいいとされている成分が規定量入っていることで、トクホ認定されているようですが、カロリーを下げるために人工甘味料を使ったりと、一方で健康なものが入っていても一方で身体に良いとは言いにくいものも入っています。そんなように思っていても、なんとなく迷ったときにトクホマークを手に取りがちな気持ちはよくわかります。ですが、正しい知識と自己責任を持って判断しましょう。トクホだったから、と責任をだれかに擦り付けるでもなく、自分で身体に良いことを行動していきましょう。

今回は”食”に関してを中心に書きましたが、次回は”運動”についてです。食事・運動・睡眠・ストレスなどが慢性疾患に強く関わると考えますが、特に食事・運動が現代人は忙しく余裕がないと言いながら、変えられるものであると思いますので、参考にしていただければと思います。もちろん運動のあとには、それらの湿痰の汚れに応じた漢方を大まかにまとめていこうと思います。

頑固性頭痛の命門堂 漢方薬局の考え方

《主訴》後頭部痛(締めつけるような強痛)座薬で抑えていたが有効でなかった

《愁訴》心窩部痛(神経を使ったりすると)


頻尿(夜間尿2回)クーラに入るとすぐトイレにいく 冷え性(足の裏、冬にお尻) 肩凝り(押さえるのも痛いくらい 口渇あり 無汗(汗が出ない)

【舌】舌色・紫絳舌有淤点もやや充血しており瘀血による鬱熱が矛盾 暗色の瘀点は陳旧瘀血による血絡閉塞が矛盾でこの人の場合瘀血による鬱熱が強い。

舌苔滑淡黄灰胎→少陽裏証で湿濁受傷 有歯痕で胖気虚湿滞

【脈】右寸渋略弦関浮滑弦尺渋 左寸渋やや硬 関渋硬短 渋 左右脈遅

【腹】心下痞満按而痛

頭は諸陽の会であり、厥陰肝脈は巓に会しており、舌苔が滑淡黄灰で濁邪が鬱遏しており

久しく上拠するために陽気窒塞し、舌有瘀点で充血から、気血瘀痺して疏泄不利のため厥陰風火が逆上して痛を作していると思われる。左脈が渋硬はその証左となる。また脈硬から筋脈緊張が強く痺痛状況は厳しいため、激痛となっているようである。また左脈硬短で年齢から肝陰不足の側面もあり、左関脈やや浮で肝風を生じやすく内風が筋膜を乾かして筋痺となりやすい側面もあり、熄風の必要性から釣藤鈎天麻など肝陰には芍薬何首烏、枸杞子なども必要となっていくと思われる。当初は湿濁を捌くことが第一義と思わる。瀉心湯に熄風の対応が良い。

右関脈浮滑弦は厥陰風火によって心窩部に鬱熱がたまりやすいための胃痛と思われる。瀉心湯加枳実で対応できると思われる。大柴胡湯及び四逆散の芍薬枳実と同意で枳実は厥陰風火が鬱熱の血痺に働くと思わる。



弁証 濁飲上拠厥陰血痺頭痛

中国の古典 黄帝内経・素問に、

「…女子14歳で初潮を向かえ、21歳で氣血が満ち、28歳で頂点に達し、35歳で皮膚がおとろえ、42歳で白髪が出はじめ、49歳で閉経する…。」

と書かれてあり、14歳で女性ホルモンが満ち、49歳で女性ホルモンが尽きるまで、7の倍数で変化していきます。

それに比べ男性は、16歳でホルモンが満ち、56歳で衰えが出るまで、8の倍数で変化し、女性の方が、より速く年を取ってしまいます。それは、女性ホルモンが出ている間は、常に、女性には子供を生むという負担があるからです。

1ヶ月の内に、風邪でもないのに、体温が1度以上変化し、赤ちゃんを育てる温かい心地良い子宮を作る作業を、毎月繰り返すのです。健廉な体でないと、耐えられないと思いませんか。もうダメという子宮の警告が生理痛です。その警告を無視したり、鎮痛剤でごまかしていると、将来不妊、子宮疾患、ひどい更年期障害になりかねません。

女性は「先天を肝(血の道)」とするとされており、子宮の環境を良くすることは、身体全体の血流を、良くする事です。

漢方で「不通則痛」と言う言葉があります。氣血がうまく流れていないと、痛みになると言う意味です。うまく流れていないという事は、何かに邪魔されている(寒・気滞・熱・お血)か、もともと流れる物(気血)がないのです。

  1. 邪魔されている場合
    • 寒……なま物好き・冷たい物の取りすぎ・薄着(へそだし、ノースリーブ、なま足。)果物の取りすぎで、寒が血の巡りを悪くしている。
      症状:手足のひえ、下痢、顔が青白い、生理時の悪心・頭痛等
      → 当帰四逆呉茱萸生姜湯、八味地黄丸、・・・。

    • 気滞……ストレス、心配事で気が血の巡りを悪くしている。
      症状:イライラ、生理前に胸が張る、ため息が多い、生理周期が長くなったり、短かったり等
      → 加味逍遙散、四逆散、・・・。

    • 熱……辛いもの、脂っこい物の取り過ぎで、熱が生じやすく、こもり易い。
      症状:目の充血、便秘、舌の色が濃い、おりものが黄・粘・臭い、怒りっぽい、血圧高い、吹き出物・にきび出やすい等
      → 竜胆瀉肝湯、防風通聖散、・・・。

    • お血……血の循環が悪く、毎月出し切れない古血が残る。
      症状:口が渇く、しみができ易い、便秘、生理時レバー塊がまじる、生理前・中に痛い等。
      → 桂枝茯苓丸、通導散、桃核承気湯・・・。

  2. 気血が少ない場合
    気血が十分に無い……間違ったダイエット、偏食、運動不足、胃腸機能不調等。
    症状:朝起きづらい、不眠逆に眠たくて仕方ない、生理量少ない、生理周期長い、食欲不振等
    → 捕中益気湯、帰脾湯、人参養栄湯、・・・。

これだけでなく、生理量・色・周期・期間・御自身の年齢・出産状況などの要素が、加味されますので、自己判断で、合わない薬を飲まれる前に、御相談ください。

(1) 例 34歳 不妊症 今年体外受精するが成功せず。生理は26,7日。基礎体温があがりにくい。高プロラクチン血症あり。

  過去疲れると、膀胱炎とカンジタ腟炎を繰り返す。舌が熱く口渇あり。

  <舌>偏紅、やや痩で陰虚内熱の舌 <脈>右弦細搏、左細やや弦

 養陰を考え(旱蓮草・女貞子)をお茶代わりに飲用後、すぐ高温期が上がるようになる。口渇があり、舌が熱い。養陰清熱を目標に対応。
半年後の検査で高プロラクチン数値は下がっていた。エストロゲン数値年齢がやや高いと言われる。

体外受精実施。受精卵12個採取でき、4個保存、一個分割してもどす。もどす前よりプラセンタ剤を服用。

◎ 患者さんの年賀より~ 先生、昨年は本当にお世話になりありがとうございました。報告が遅くなってしまったのですが、9月に妊娠することができました。
いま6か月に入りました。お顔をみて御礼を伝えたかったのですが。。悪阻や新型インフルエンザの流行などで行くことができず本当に心苦しいです。
先生には本当に本当に感謝の気持ちでいっぱいです。本当に本当にありがとうございました。



(2) 例 37歳 2005年妊娠するが8週めで切迫流産。2006年10月 潜在性高プロラクチン血症、乳汁分泌あり 2007年より不妊治療でホルモン療法

 生理は3日 E2数値(エストラジオール)が高い。生理量が少ない。口渇あり、便秘がち。肩凝り、手足のしびれ 眼精疲労

<舌>偏紅 裂紋 <脈>虚浮細弦 <爪>平で薄い

細弦は水虧木旺による高プロラクチン血症 細弦↑で腎水不足による絡血の枯塞から舌に小裂紋があり、絡脈を支配している肝の疏泄不利で弦の肝鬱の脈が出ていました。

亀齢寿に(一日女貞子9g旱蓮草9g)をお茶がわりに飲用。飲用してから<脈>弦が緩むと同時に便通が良くなる。

高温期が長くあるようになり、脈も弾力が出て厚みが出てくる。飲用5ヶ月目に妊娠。

◎ 患者さんの年賀状より~ご報告遅れましたが、おかげさまで子供を授かり、感激と感謝の毎日です。先生のおかげです。本当にありがとうございました。


今回高プロラクチン血症の不妊の患者ですが、共通は舌が赤く、陰虚内熱的な症状がありました。卵胞ホルモンも黄体ホルモンもどちらも 実「体」という形を持たないものであり、食材や漢方製剤のような、実、根、葉とかの生命体の実体のあるものとの違いがあり、ホルモン剤の多用は陰傷内熱の方向に行きやすいのでは考えました。虚労病に炙甘草湯があり、虚労病は三焦脂膜が枯燥で、労働に強いロバの膠が有効で崩漏体質の子宮内膜が薄い、卵子が小さいなどに有効に働いていくのではと考えます。絡血が枯燥しての脈不整の炙甘草湯の阿膠・麻子仁など同様と考えると、内膜枯燥で薄い人により有効と考えます。


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