漢方を知る

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薬局・薬店の先生による健康サポート

たかが便秘、されど便秘。

便秘は日常的に見られる症状で、病気といえるほどのものではありませんが、大腸がんなどの病気がかくれていることもあり、あなどることはできません。

しかし便秘の多くは器質的病気のない機能性便秘で、これに対して、現在は、センナの製剤や酸化マグネシウム製剤が多く使われています。

残念ながら、それらを服用しても満足のいく快便が出ないことも少なくありません。

快眠、快食、快便は健康のバロメーター

快眠、快食、快便は健康のバロメーターといわれていますが、快便とはどのような状態でしょうか。

最も大切なのは便の性状で、硬くなく、ゆるくもなく、よくバナナのようなのがよい便とされています。
適度な硬さと量があってスッキリ排便できるのが理想的です。

そう、快便は腸内細菌が元気で健康な証です。

排便の間隔は人それぞれ

毎日出さないとよくないと思い込んで下剤を服用する方もいますが、排便の間隔は個人差、年齢差などもあり2日~3日に1回でも快便であれば問題はありません。
反って下剤を服用して軟便、下痢便にすると腸はダメージを受け、腸内環境が悪化して悪玉菌が有害物質を生成するようになります。

バラエティーの少ない今の便秘薬にたいして、漢方ではそれぞれの体質や症状に応じていろいろな病態にたいする漢方薬が用意されています。

1.肥満症、暑がり、汗かき体質、辛い物、肉、味の濃い物などの過食で腸に熱がこもり便秘するタイプ。
大黄、芒硝などの瀉下剤の入った漢方を使う。
2.イライラ、憂鬱、焦燥感、不安感など精神的ストレスの多い人では、腹部の自律神経が失調してお腹の張り痛み、コロコロ便、下痢と便秘を繰り返すなどの症状が出やすくなります。
このタイプには柴胡、枳実、厚朴、芍薬など腸の働きをスムースにするものが入った漢方を使います。
3.お年寄り、胃下垂などがあり、元気のない、いわゆる弛緩性便秘とよばれるタイプ。
腸管の筋力が弱いため便が停滞し、数日出なくても苦痛はなく、出口だけ硬いことが多い。
黄耆、白朮、甘草などで脾胃の元気を補う漢方を使う。
4.弛緩性便秘の人で、寒がりで手足の冷えが強い人では粘土状の便で排便が困難になることがあります。
乾姜、山椒などお腹を温める漢方を使います。
5.老化などにより体液が減少し、腸管内も潤いがなく便がスムースに出にくいタイプ。
麻子仁、杏仁、桃仁など潤腸作用のある生薬の入った漢方を使う。

店主からヒトコト

便秘の改善には主食、副食をバランスよく規則正しく食べること、ゆっくり排便するゆとりをもつなど、生活習慣が最も大切なことは言うまでもありません。
実際にはもっと様々なタイプがあり、段階的に薬を変えながら改善に導く場合も多く、日常生活、食生活の改善もふくめて、よく相談されて服用すると良いでしょう。


先生の紹介

プロフィール 博方堂クメカワ薬局 粂川 義雄先生博方堂クメカワ薬局
薬剤師
粂川 義雄先生

略歴

東京薬科大学卒業、現在、博方堂クメカワ薬局経営。
1976年漢方研究会、温知会に入会し矢数道明先生より指導を受け漢方の研究を始める。
元東京医療福祉専門学校漢方概論講師。
共著書に「現代語訳啓迪集」「実用漢方処方大成」「図説東洋医学」「東洋医学用語集」などがある。

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