男性　６０歳代　
　３週間咳が止まらない。病院で最初は現代薬で治療していただいていたらしいが、効果がなかったので、先生が漢方薬は分からないと言いながら、なぜか〇〇〇の清肺湯を処方してくれた。分からないと言いながら〇〇〇が作った表があるらしくて、ずっと見ていって「これくらいかな」と指を止めた薬を処方してくれたみたいだ。
　さすがに改善しないから、本人も不安になって、漢方薬を求めてやって来た。咳くと胸が痛い。その上この方は背中まで痛い。そして痰は黒いそうだ。
　そこで僕はある煎じ薬を作ることにしたが、６０歳代の男性は独身で、家には魔法瓶と湯沸かし器しかないらしい。その二つで出来る料理をして生活しているらしい。彼の症状には、その煎じ薬以外効かないと思っているので、何の手伝いもできないと諦めかけたのだが、ふとグッドアイデアを思いついた。牛窓の方だから僕が毎日煎じて、取りに来てもらえばいいんだと。それを提案すると本人も喜んだ。
　昨日の昼作ったから、１日３回飲んだだろうところで電話がかかってきて、もうほとんど痛みがなくなり、咳もかなり減ったと言っていた。もう一回分あるからこれを夕方飲んで次を飲むかどうか決めると言った。１日３回飲んだのではなく、２回しか飲んでいないことになるが、それでももう完治したかどうかを見極めるらしいから、運のいい人だ。
　それにしても古人の知恵はすごい。何百年前に考えられた処方が、現代医学で３週間何ら改善できなかったものを、ほぼ２４時間で完治に近いまでできるのだから。
ふと漏らしてくれたキーワードで作った処方が気持ちがよいほどヒットした。
　それにしてもお医者さんの権威はすごい。収入も凄いが権威はもっとすごい。効かなくても３週間飲んでくれる一方で、田舎の薬局では効いたら１日でやめる。