人には全て能不能あり。
有名な山岡鉄舟の格言ですが、はてさて漢方薬にも能不能はあります。
即ち夏かぜには夏の漢方薬を。
悪寒、発熱が強く、頭痛や鼻水、咳などの症状が伴う冬のかぜに比べて、夏のかぜは体が火照ってだるく、嘔吐・下痢などの胃腸症状が中心となります。このような夏のかぜに温める薬(冬のかぜによく使う薬)を用いると、発汗が高まり過ぎてかえって体調を崩すことがあります。ですから夏かぜには夏かぜの漢方薬を。
春の寒湿は麻黄からなる青竜湯で発散する
夏の暑湿、熱湿は大棗を含む朱雀湯で下す
秋の熱燥は石膏からなる白虎湯で潤し冷ます
冬の寒冷は附子からなる玄武湯で温める
夏におこりやすい湿熱症状は、下して治めるのが古来からの風習とされていますが、
何であれ、誰であれ下すのは、いささかリスクが高すぎる。
胃腸症状が伴う場合はもっとマイルドな方法、
つまりは和まして治めるのが適しています。
夏の胃腸型のかぜに用いられる藿香正気散などはその典型でしょうか。
また盛夏の中での高熱を伴う症状には、
銀翹散のような辛涼・清熱の方意が向くとされています。
漢方薬にも全て能不能ありです。
夏かぜに葛根湯は正直、お勧めできませんよ・・・。
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更新日: 2014/07/24 |