日々の健康は、精を出す事と精をつける事、
この2つの繰り返しによって成り立っています。
ただ、一口に精を出すといっても、その形は様々です。
例えば夏と冬。
暑いときは汗をかいて、熱を発散して、冷(さ)ますことに精を出します。
対して、寒いときは、肌を引き締めて、熱を逃がさず、保温することに精を出します。
ですから、暑い時期の「精の出方」で、
寒い時期を快適に過ごせるかといえば、なかなかうまくはいきません。
暖かい季節と寒い季節が入れ替わるときには、精の出方が変わるわけです。
一年を通じてそうであれば、一日を通じても同様の事が言えます。
朝は目覚めて活動的になることに精を出して、
夜は眠りについて休息的になることに精を出すわけです。
そして精を出す形は、老若男女や生活環境、
果ては健康状態や心理状態によっても異なります。
例えば緊張すると、筋肉が硬直する、手の平や腋などから発汗する、息が詰まる。
そういう方向に、無意識につとめてしまう、精を出してしまうわけです。
病というのも、私たちの与り知らぬ所で、
心身が様々な症状を発する事に精を出すと、このように見立てることができます。
即ち、痛みや咳、めまい、吐き気便秘などを抱えているときは、
からだが不都合な程度や方向に、精を出している状態といえるわけです。
そして、病をそのように捉えると、それに対する治癒や治療も、
それ相応の精を出すということに置き換えることができます。
ですから、いざというときに治癒力が発揮できるように、
そういう部分で精が出せるように、ふだんに精をつけておくことはとても大切な事です。
「予防に勝る治療なし」という言われは、
病を引き起こさないための行いに努めなさいという事ではありません。
それでは万の病に対して、万の予防を行うことになりかねません。
そういうことではなくて、治療に必要な治癒力を高めておくこと、
それに関わる部分で精が出せるようにしておきなさいということです。
精を出すという一つの行いが、ときには万の予防も兼ねてしまうわけです。
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更新日: 2015/11/12 |