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「有機肥料で漢方薬を育てたい」というのは、私たちが薬局を始めた当初からの目的で、薬草を自分たちの手で作り始めて、もう25年になります。 有機肥料というのは落ち葉 モミガラ、 牛ふん、鶏ふんなどをまぜて作ったもの。土の中の微生物がこれらの有機肥料を分解し、発酵させて、 それが薬草の栄養となるのです。「赤ちゃん」 という「生命」をつくるには、やはり「生命」の力が必要なのではないかと私たちは考えています。

実際、私たちの薬局で有機育ちの当帰を提供できるようになってから、 不妊相談でいらっしゃるかたの妊娠率も上がっているのです。 安全性という意味で無農薬栽培も大事だと思いますが、それだけでなく、生命力のある漢方薬を供給するため、あえて有機栽培にこだわりたいのです。有機育ちの漢方薬は化学(無機) 肥料を使って育ったものと違い、香りも味も強く、薬としての効果も非常によくなります。

また、化学肥料を使いすぎた畑では微生物が生活することができないので、虫も寄ってくることなく、生命の感じられない畑になってしまいます。

一方、有機肥料を使った畑には微生物がたくさんいるので、虫も集まってきます。 その虫をエサとする鳥たちも集まってきます。 そしてなによりも畑自体があたたかいのです。 それは土の中で微生物が盛んに活動しているため、そこにエネルギーやガスが発生するためでしょう。

お米や野菜もできるだけより生命力のある有機育ちのものをおすすめします。
何度も食べるものの大事さについてお話ししてきましたが、野菜などの農作物は、できれば有機育ちのものを積極的にとってほしいと思います。 昔は、落ち葉や牛ふんなどは土の中にいる細菌や菌類に分解され、植物の栄養となり、その植物を動物が食べ、動物の死がいが土に返り、細菌や菌類によって分解され・・・・・・というふうに、すべての生命は連鎖していました。

しかし最近では、野菜などの農作物は化学肥料を使って育てられたり、ビニールハウスや工場の中で無菌管理で栽培されたりということが珍しくありません。つまり、植物の段階で生命の連鎖が断ち切られてしまっているんですね。赤ちゃんを授かりたいと願っているかたには、そうした野菜よりも、より生命力にあふれた有機育ちの野菜を食べてほしいと思うのです。

また、有機野菜を食べるときはできればゆでる、だしだけで煮るなど、 なるべく手を加えないほうがよいでしょう。 そのほうが素材の味もしっかり楽しめますし、体にとって余分な塩分、糖分、油分、添加物などをとらなくてすみます。

有機育ちの当帰を使った処方で3カ月後には自然妊娠!

今回ご紹介する患者さんは30才。 クロミッドを服用してタイミング指導を2年間受け、人工授精に4回チャレンジ。 クロミッドを飲みつづけたせいか、最近は生理の量が減っているという訴えがありました。基礎体温はやや低め。顔色は黄色がかった茶色、姿勢はねこ背ぎみ。手足は冷えやすく便秘傾向で、ヨーグルトや野菜ジュースでなんとか排便しているそう。 頭痛や立ちくらみを起こしやすく、目の下にはれぼったいクマも。 甘いものが好きで、運動はあまりせず、趣味は読書で1日に2~3冊読むとのこと。ヨーグルトや野菜ジュースなどを飲食していると胃腸が衰え、食べ物を血に変える力が弱くなります。 そのため常に貧血になり、疲れやすく手足も冷えてしまうのです。 顔色がやや黄色いのも、血液が十分に循環していないためだと思われます。 血液が全身をスムーズに循環しないと、卵巣や子宮でエネルギー不足が起こり、よい卵がつくれなかったり受精卵を育てられなかったりします。
そこでこのかたには、胃腸を丈夫にし、血をつくり血を体にめぐらす当帰建中湯(自家製有機栽培の当帰使用)を処方。 さらになわ跳びを1日1000回目標にしていただきました。すると服用1カ月後には便通もよくなり生理の量もふえ、3カ月後には、みごと、自然妊娠されました。


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