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きぐすりトピックス
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| 実験 番号  | 
         投与量 (mg)  | 
         30日後生存率[%] | |
|---|---|---|---|
| 対照群 | 投与群 | ||
| 1 | 1.0 | 33 (15) | 78 (15) | 
| 2 | 4.0 | 27 (30) | 77 (30) | 
| 3 | 4.0 | 32 (25) | 84 (25) | 
カッコ内は用いた動物数をあらわす。

ニンジン
投与時期と効果においては、ニンジン抽出物5.0mgを、X線照射24時間前、2.5時間前、直後、2.5時間後、または24時間後に投与したところ、24時間前の30日後生存率がもっとも高く、2.5時間前がそれに続きました。直後と2.5時間後がほぼ同じで、24時間後の投与では効果は低下し、ニンジン抽出物を投与せず生理食塩水を投与した対照群との間に差は見られませんでした。
次に、投与時期をもっとさかのぼって、X線照射の5、3、2、1日前または直後に投与したところ、2日または1日前がもっとも有効で、5日または3日前の投与は無効でした。
文献2)シゴカ(刺五加,エゾウコギ)抽出物による放射線障害の回復
- 引用文献:
 - 刺五加のマウスにおける放射線防護作用と肝SOD活性,
第6回和漢医薬学会大会,1989 
要約:
 シゴカ抽出物は、放射線(ガンマ線(60Co))照射されたマウスの骨髓死を防ぐことが明らかになっています。マウス37匹に抽出物10mg/マウスを腹腔内投与し、24時間後に放射線を照射し、30日後に生存率を測定したところ、表2が示すように30日後生存率が増加しました。
表2 放射線照射マウスの生存に対するシゴカ抽出物効果
| 実験 番号  | 
         投与量 (mg)  | 
         30日後生存率[%] | |
|---|---|---|---|
| 対照群 | 投与群 | ||
| 1 | 1.0 | 34 (35) | 84 (37) | 
カッコ内は用いた動物数をあらわす。

エゾウコギ(シゴカ)
文献3)ドクダミ
- 引用文献:
 - 原子爆弾傷、特に放射能症の民間療法(3),小川新,漢方の臨床,第37巻 第4号,1990
 
原子爆弾が投下された広島市の旧市内は、人を含め壊滅状態のため、医薬品はブドウ糖一本でも貴重であり、火傷に用いる油類、リバノール、マーキュロクロームなどの外は、包帯類もない状態でした。
それ故、野・山の一木一草、薬になるものなら何でもよいという状態で、薬を求める大衆の願望はまことに切実なものがあり、医師も患者を治したい心はあっても、なすすべもないという状態の中で行われた方法です。
そのため、殆ど医師に相談して行われたものではなく、アンダーグランドの医療であることをご留意ください。

ドクダミ
要約:
 姉妹(17歳・14歳)が、爆心から1000mの街路上で被爆したが、幸い大きな火傷、外傷は無かった。姉は即日、鼻出血と共に高熱を出し、3日間意識不明であった。目が覚めてから母親に毎日ドクダミを服用させられ、約1年続けた。現在、看護婦として勤務している。一方、妹は元気だったのでドクダミを飲まなかったが、9月初旬に突然発熱、脱毛、下痢、咽頭頭炎、下血などの放射能症を発し、12月下旬に死亡。自分はドクダミ服用の効果があって、現在まで元気に生きていられると思います。大学でも一般の医師達はこの方面に無関心ですが、先生はこのような民間薬のことを理解してくださることは有り難いと思いますので、お電話致しました。
文献4)十全大補湯および補中益気湯による放射線障害の防護
- 処方構成:
 - ・十全大補湯(出典:太平恵民和剤局方)
 - 人参・桂皮・川キュウ・地黄・茯苓・朮・黄耆・当帰・芍薬 各3.0、甘草1.5
 - ・補中益気湯(出典:弁惑論)
 - 人参・朮・黄耆 各4.0、当帰 各3.0、柴胡・陳皮・大棗・乾生姜 各2.0、 甘草1.5、升麻1.0
 - 引用文献:
 - 十全大補湯および補中益気湯による放射線障害の防護,
米沢司郎 他(大阪府立放射線中央研究所),和漢医薬学会誌Vol.2(1),1985 
要約:
 十全大補湯または補中益気湯を、放射線(X線)照射の3週間前からマウスに自由摂取させると、X線全身照射後の救命効果が認められています(表3)。
表3 放射線照射マウスの生存に対する十全大補湯および補中益気湯の効果
| 薬剤 | 30日後生存率[%] | |
|---|---|---|
| 対照群 | 投与群 | |
| 十全大補湯 | 32.5 | 77.5 | 
| 補中益気湯 | 32.5 | 60.0 | 

補中益気湯
また、両薬剤投与群で14日以後に血小板数が増加する傾向が見られました。赤血球数は放射線照射後、6日目から減少して14~18日目には薬剤を投与せず、生理食塩水を投与した対照群で正常値の1/2以下である4.6×106/mm3に達したのち回復に向かいましたが、両薬剤投与群ではわずかな赤血球数の減少抑制および回復促進傾向を示しました。白血球数は放射線照射直後から減少し14日目から回復しましたが、減少抑制または回復促進に関しては、両薬剤は投与効果は認められませんでした。
文献5)小柴胡湯による放射線障害の防護
- 処方構成:
 - ・小柴胡湯(出典:傷寒論、金匱要略)
 - 柴胡7.0、半夏5.0、黄ゴン・大棗・人参 各3.0、甘草2.0、生姜1.0
 - 引用文献:
 - 小柴胡湯によるマウスの放射線障害の防護,
米沢司郎 他(大阪府立放射線中央研究所),和漢医薬学会誌Vol.2(3),1985 
要約:
 小柴胡湯投与群では、放射線照射によって障害をうけた造血系の初期段階で効果を示します。この効果は十全大補湯でもみられますが、小柴胡湯の方が強いです。一方、血小板産生促進効果、糞便中の出血抑制及び延命効果は十全大補湯が若干優れています。
表4 放射線照射の3週間前からマウスの自由摂取による救命効果
| 薬剤 | 30日後生存率[%] | |
|---|---|---|
| 対照群 | 投与群 | |
| 小柴胡湯 | 10 | 40 | 

小柴胡湯





