きぐすり.com は、漢方薬、女性の健康、サプリメント、ハーブの情報を専門家がやさしく解説しています。
地図から学ぶ、生薬(きぐすり)のふるさと
種子島における主な農作物は、サトウキビとサツマイモが有名ですが、ガジュツもとても重要な特産品です。サツマイモ、サトウキビ、ガジュツと続く収穫作業は種子島の冬の風物詩です。
ここでは、種子島におけるガジュツの収穫風景を紹介します。
種子島および屋久島に於けるガジュツの栽培面積は約30ヘクタールで、全て製薬メーカーとの契約栽培です。
ガジュツってどんな植物?
栽培されているガジュツは Curcuma zedoaria Roscoe で、根茎の内部が青紫色を帯びる。
 
ガジュツの収穫は年明け1月から
種子島・屋久島における収穫は、年が明けた1~3月に行われる。その頃、地上部は既に枯れている。降霜や霜柱が立つ地域では、根茎が寒害で傷むため、霜が降りる前に収穫する必要がある。しかし、当地では寒害の心配がなく、栽培期間が長く確保できるため、良質なものが生産できる。

ガジュツを収穫する方法は職人技?!
トラクターによる根茎の収穫。収穫は手掘りや芋掘り用機械を利用する人等様々であるが、この生産者はトラクターに鋤を付けて行う。根茎を傷つけずに無駄なく収穫する方法は職人技で、一般的ではない。

ガジュツの根茎の分割と選別
収穫したガジュツの根茎は土で塊状になっている。それをほぐし、土を落とし、根茎を大きさにより選別する。寒風吹きつける畑で、土の塊を持ち上げ、地面に落とし、割る作業は重労働である。根茎は卵大のサイズを基準に、大きなものは収穫物として、小さなものは翌年の種芋とする。種芋とする根茎は大きいほど収量が上がるため、できるだけ大きい根茎を利用するよう推奨されているが、生産物が少なくなるため、大きなものは種芋には利用し難い。

ヒゲ根を取り除く
収穫したガジュツの根茎。根茎から発生した沢山のヒゲ根を、取り除く必要がある。この根は芯が固く、手ではちぎれず、ハサミで切り落とす。この生産者はヒゲ根を取りやすくするため、畑でヒゲ根を乾燥し、機械でヒゲ根を切除している。

ガジュツの根茎の乾燥

乾燥中の根茎。
 収穫したガジュツの根茎を上下逆さまにして、ヒゲ根を天日乾燥させる。
ヒゲ根切除機、登場

   
   
  
この機械は回転する刃(銀色に光っている部分)を持ち、電気シェーバーのようにヒゲ根を切除する。
仕上げ調製
ヒゲ根除去後の根茎。機械処理で残ったヒゲ根をハサミで切り取り、仕上げ調製し、出荷する。ここでは根茎の水洗・洗浄は行わず、出荷先のメーカーで行う。10アール当たり収量は生根茎で1,500~2,000 kg程度である。

種子島の冬は温暖とはいえ、季節風が強く、結構寒く感じます。
 また 生産者の高齢化が進んでいます。
 そんな環境下で、みんな逞しくがんばっています。
- はじめに
 - 日本の生薬(きぐすり)を学ぼう
 - 忘れ去られた石菖[1]~石菖との出会い~
 - 忘れ去られた石菖[2]~石菖って?~
 - 忘れ去られた石菖[3]~石風呂の文化~
 - 忘れ去られた石菖[4]~茶や花の文化の中へ~
 - 忘れ去られた石菖[5]~聖なる場所~
 - 「おきぐすりのふるさと」富山
 - 小豆島のオリーブの魅力
 - 種子島におけるガジュツの収穫
 - 鞆(とも)の保命酒
 - 熊本の川“緑川、白川、黒川”色々
 - 日本に一つ日本一の味噌の天神
 - ハスって、な~に?
 - 熊本名産「からし蓮根」
 - 薬用に用いる「ハス」
 - 牧野富太郎
 - 伊吹山の薬草[1] ~伊吹山にはなぜ薬草が多いのか?~
 - 伊吹山の薬草[2] ~日本武尊は伊吹山の荒神にトリカブトで反撃されたか~
 - 伊吹山の薬草[3] ~コンブリ~
 - 伊吹山の薬草[4] ~甘茶~
 - くすり屋の町 道修町
 - 除虫菊
 - 世界の生薬(きぐすり)を学ぼう
 - 茯苓の産地を訪ねて~1~
 - 茯苓の産地を訪ねて~2~
 - ローズヒップに出逢う旅:チリ
 - ベトナム桂皮
 
