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病気の悩みを漢方で

頭痛の漢方
1.高血圧傾向の頭痛
 頭痛の漢方治療では、頭痛に伴う色々な症状を考慮して適切な処方を決めます。
   今回は、高血圧や肩こり(首筋や肩の筋肉の緊張)に伴う頭痛に悩む人に適した漢方処方を紹介します。
   なお、感冒初期の肩こりに伴う頭痛には葛根湯(カッコントウ)が適することは前回に紹介しました。葛根湯以外の処方を今回、解説します。
漢方薬の多くは、気持ちを鎮め、血行を改善して筋肉の緊張を解きほぐします。
2.高血圧傾向(かんしゃく傾向の)頭痛・頭重感

CHさんは「かんしゃく」傾向で、耳鳴り、のぼせ、めまい感、眼球結膜の充血、肩こりを伴う患者さんが悩む頭痛イメージです。
釣藤鈎(チョウトウコウ)と菊花(キクカ)を基本とする釣藤散(チョウトウサン)の適応になります。イラストは中年男性ですが、気むずかしく頑固な高齢者の慢性頭痛や頭重感にも用いられます。頭痛は早朝や午前中に顕著です。基礎疾患は高血圧症、脂質異常症、動脈硬化症などです。
本方は軽度の認知症の進展を遅らせる効果が報告されています(このような場合は医療機関を受診してください)。
釣藤鈎はカギカズラという蔓性の植物の鈎状に曲がり先端がとがったトゲ(棘)です。鎮静作用や血管拡張作用のあることが明らかにされています。
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菊花(キクの花)は頭痛や眼の充血を改善する漢方薬です。食用やお茶としても利用されています。菊花茶は、菊の花(10個ほど)をコップに入れ、熱いお湯を注ぎます。菊の香りを楽しみながら飲んで下さい。イライラした気分が落ち着くでしょう。
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      杭白菊  | 
    
      キクカ(杭白菊花)  | 
   
3.高血圧傾向(興奮傾向)の頭痛

 OGさんは、顔面が紅潮し、のぼせて、イライラして腹が立って眠れない状態のイメージです。
   黄連(オウレン)と黄芩(オウゴン)と山梔子(サンシシ)を基本とする黄連解毒湯(オウレンゲトウ)の適応です。便秘が顕著であれば黄連と黄芩に大黄(ダイオウ)を加味した三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)が適します。ともに苦い薬ですが、我慢してください。 
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      黄連解毒湯の配剤生薬の写真  | 
    
      オウレン越前  | 
   
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      クチナシの花  | 
    
      クチナシの果実  | 
    
      山梔子  | 
   
黄連(オウレンの根茎)と山梔子(クチナシの果実)は高ぶった気分を鎮める漢方薬です。
4.高血圧傾向(腹部膨満感)の頭痛

 DSさんは、比較的体力があって上腹部や脇腹が張って不快で、耳鳴り、肩こり、便秘を伴う頭痛のイメージです。
   大黄(ダイオウ)、柴胡(サイコ)、黄芩を基本とする大柴胡湯(ダイサイコトウ)の適応です。
   「固太り」の人がのぼせて頭が痛む時に適します。基礎疾患はメタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)、高血圧症、脂質異常症(高脂質血症)、肥満期の糖尿病、などです。
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      大柴胡湯の配剤生薬の写真  | 
   
5.高血圧傾向(婦人更年期障碍)の頭痛

 TJさんは比較的体力があり、のぼせ(冷えのぼせ)、肩こり、便秘、腰痛を伴う頭痛 などに悩む婦人更年期の患者さんのイメージです。
   大黄、桃仁(トウニン)、桂皮(ケイヒ)を基本とする桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)の適応になります。基礎疾患は婦人更年期障碍、高血圧症、脂質異常症などです。
 便秘が顕著でなければ桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)が適します。どちらも血のめぐりをよくする漢方薬です。
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      桃 仁  | 
    
      大 黄  | 
   
6.頭痛に伴う症状をくわしく話してください。
以上のように高血圧症に伴う頭痛を漢方医学的に診断すると用いる漢方処方は色々です。ですから頭痛の漢方相談の時には、頭痛以外の症状をくわしく話してください。それがあなたのその時点に適切な漢方処方を選ぶ重要な情報になります。
  肩こり(首筋や肩の筋肉の緊張)に伴う頭痛は緊張性頭痛といわれます。首筋や肩の筋肉は、精神的ストレス、不自然な体勢で事務作業を続けたとき、パソコン業務による眼精疲労、などで起こり、頭痛を誘発します。
  パソコン業務の間に背伸びをし、腕や肩をまわすなど、作業環境を整えることが重要です。 
  帰宅後の入浴、休日の散歩なども症状をやわらげます。なお気分転換のお酒は「ほどほど」に自制してください。
病気の悩みを漢方で
谿 忠人 先生
大阪大学薬学部卒・同大学院薬学研究科修了
- 大阪大学薬学部・助手 (生薬材料学と生薬化学)
 - 近畿大学東洋医学研究所・講師・助教授 (臨床漢方薬学)
 - 住友金属工業(株)未来技術研究所・医薬研究部長 (創薬研究)
 - 富山大学和漢医薬学総合研究所・教授 (資源科学と漢方医療薬学)
 - 大阪大谷大学薬学部・教授 (漢方医療薬学)
 - 平成24(2012)年3月に大阪大谷大学を定年退職。
 - 大阪大谷大学名誉教授。
 - 日本東洋医学会名誉会員、和漢医薬学会名誉会員。
 


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