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 五月に入り、雨が降ったり風が吹いたり少し荒れ気味の天候ですが、プロ野球のほうも、セリーグの首位が日替わりで変わりますので、広島カープファンは鯉の季節が過ぎても心配したり喜んだり感情の起伏の激しい毎日をお過ごし事と思います。
 さて、5月といえばこの時期御来店になる患者さんで、一昔前までは五月病(ごがつ病ともさつき病とも読まれます)といわれていた症状の方が居られます。4月からスタートした新生活がひと段落して少し生活に余裕が出来た頃に起こり始める体のだるさ・集中力の欠如・原因不明のいらいら感などです。私が拝見するのに、目標とする高校・大学に合格した方や、希望する会社に就職した方も多く、挫折感が原因とは考えにくい患者さんが多いのもこの五月病の傾向です。
 同じ時期に起きる現象ですが、生活のリズムが変わったために起きる症状なのか、それとも環境が変わったために今までにないストレスが発生しているのかで、漢方薬の選択は変わってきます。通勤通学が遠距離になったために、朝早く起きなければならなくなった事で睡眠のリズムが乱れていたり、起きる時間を変えることが出来なくて朝ごはんを省略したり簡単なもの(コーヒーとパンだけなど)にしてしまったりしたりで疲れが出てくるのもこの時期ですし、新しい上司との仕事になったり、学校などでクラブ活動を始めてドンといっぱい新たな先輩が出来てそのうち何人かは厳しい先輩だったりその学校は聞かされていた以上に厳しい校風だったりと、精神的要因も最初は我慢できていたものがこのまま続けて行けるんだろうかと不安が出てくるのが、この5月という時期なのです。
 お客様からの情報を整理して、体の方の失調ならば生薬の「御種人参」を中心とした「補気剤」の中からお選びして、精神的要因の方は漢方理論の「気を巡らせる」働きのある「理気剤」をお勧めします。「補気剤」を選択した方にはお薬の効果自体が元気の積立貯金のようなものですから、少し調子が良くなってもしばらくの間は継続して頂き少しずつ減量していって頂きます。「理気剤」をお勧めした方には精神的要因は考え方ひとつで段階的に良くなっていく場合が多いので、ストレスの裁き方(ちょっと難しいことですが、私自身も現在修行中です。)をご説明していきます。漢方薬を飲まれて症状に波が出てくる方は治っていく可能性が高いのでお薬を中断しないで頑張って症状ゼロまで引き上げて頂きます。ストレスが要因の方はあるきっかけ(ご自身の認識が変わっていく時期があります)で飛躍的に症状が改善して、漢方薬をやめても大丈夫という展開も珍しくないのが、この「理気剤」の適応する方の特徴です。

 前回のトピックスで載せました東洋医学の「のぼせ」について少し補足を。
 東洋医学では、人間の体を循環するエネルギーの流れを「気」という言葉で表現します。気功法などは体を動かしながらこの「気」を巡らせていきますし、座禅などは体を静止したまま「気」降ろしていくわけです。当然エネルギーの流れですので、現代医学の最先端の検査でもこれを見つけることは出来ません。(サーモグラフィーのように体温の変化を表す検査はありますが、エネルギーの流れではありません。)
 この「気」の流れが停滞していろんな症状が現れるのが「のぼせ」ですので、残念ながら最先端の検査機器をもってしても「気」の異常を見つけることは出来ません。頭帽感・偏頭痛・目の奥の痛み・肩こりなどいろいろな症状を表しますが、原因不明の倦怠感、喉のつっかえ感、胸苦しさ、胃部のつっかえ感、腹部の固まった感覚などもこの「気」の流れの停滞から起こる症状だと東洋医学は認識します。
 特徴的なのは「気」の問題ですので、気分の良い時はまったく起こらない時間があります。普段は大丈夫なのに、好きな人の前にいくと、胸がドキドキして、頭がボーとして、一緒に食事をしようものなら食べ物が喉を通らない、好きな人を思い出しては夜も眠れないなどの現象の原因と同じ事ですので、私は「初恋症候群」と呼んでいます。(恋愛をしたことがない方にはピンと来ないかもしれませんね。・・失礼しました。)
 初恋はそのときは困っていても将来良い思い出になるはずですが、東洋医学でいう「のぼせ」は治さなければいけません。ところが「気」の概念が無い西洋医学にはその治療薬がありません。原因不明ですが症状の訴えがありますので、精神安定剤や睡眠導入剤が処方される事になり、その連用に陥ってしまうことになって行きます。漢方薬の場合「気」の流れが改善されて、症状が軽くなっていく事がわかっていけば、少しずつ気分も変わっていくという展開で治っていくというわけです。
 精神安定剤や睡眠導入剤を一生飲まれることより、はるかに安く、体にも優しく、そして何よりも「脳の活性」を落とさずに済む選択だと思います。

 立春が過ぎ、梅から桜へ花のきれいな季節がやってきます。昔からこの時期は「木の芽時」(木の芽立ちという方もいらっしゃいます。)と言って女性の体調が変化しやすい時期だと認識されています。現在では核家族化が進みお年寄りと一緒にお住まいのお方が少なくなりましたので、この言葉自体ご存じない方が多いのではないでしょうか。大地が春の変化を迎える時期に、女性の体も芽吹くがごとき変化を迎え、ご本人方にはあまり歓迎できない症状も訪れるというわけです。主なものは、東洋医学的には「のぼせ」といわれる症状で、上半身のほてり感・動悸・そわそわ感・のどのつっかえ感・不眠などで、どれも「気」の巡りの異状によって起こるため、西洋医学に検査を受けても異常はないために「自律神経失調症」などという仰々しい病名がついて精神安定剤などが投薬されるケースが見受けられます。極端なケースは異常が確認されないのに「うつ」という病名がついて抗うつ剤が処方されるという私には信じられない展開も考えられます。
 季節の変化が起こすいたずらですので、多くの場合さくらが咲ききってしまえばうそのように症状が消えてしまう場合が多く、私の薬局で経過が良くなった方はこの季節に症状が起きるとまず漢方薬を取りに来られます。中には年に1回この時期にだけ一か月分だけ御買い上げになりその後は一切お越しにならないお客様も居られます。
 この変化は男性にはわかりませんので困るところなのですが、この時期に何か体の変調を感じた女性の皆さんは、西洋薬の「連用のトンネル」に入り込む前に、漢方薬の婦人薬をまずお試しになる事をお勧めします。

 この時期のかゆみ(帯状疱疹も含む)は発散するほうが結果的に改善が早いというのが前回のトピックスの内容でした。今回はその補足を少し。
 かゆみや湿疹が春から夏に出るのは体の方向性からいえば正常な反応というのが前回の内容に出てきましたが、それと同時に上半身と下半身に分ければ上半身に出てくるのは比較的正常な反応といえます。これは東洋医学では「表」(ひょう)という一字で体の表面を表すのですが、厳密に言えば体が発散する場合は体表面のうち上半身に反応が起きるという理論があります。この理論を応用しますと、春から夏に上半身に起こるかゆみは比較的軽症で、下半身の起こるかゆみは比較的治り難いと考えます。特に秋から冬にかけて発症する下半身のかゆみは手強いと考えるわけです。
 この場合は毒素が長い間停滞してあるボーダーラインを超えたために表に表れた症状であると判断して、隠れた部分に相当量の処理しなければならない毒素が停滞していると判断します。発散するお薬を併用しても良いのですが、基本方針は長い間の毒素を体表面以外の経路も使って排泄していく作戦に切り替えます。もうひとつの経路は「尿」です。逆に言えばこちらのほうが本来のデトックスの経路で体表面以外の部分に停滞した毒素を一番の毒素排泄機関である「腎」に活躍してもらいます。
 漢方薬には腎炎などの病気の場合でなくても「腎」の働きを助けてくれる「補腎薬」というグループがあります。発散による治療に比べると少し時間がかかりますが、それだけ下半身の症状や秋から冬に現れる症状は根が深いのだと覚悟を決めて、じっくり取り組んでいく事が大切なポイントになっていくわけです。

 立春が過ぎてもまだまだ寒い日が続きますが、季節は確実に春に向かっております。
 ご来店いただくお客様の中でかゆみの症状をおっしゃる方が増えてくるのもこの時期の傾向です。帯状疱疹や湿疹を含むかゆみを伴う疾患に対する場合、東洋医学ではその症状が現れた季節に(春・夏なのか、秋・冬なのか大まかには二つに分類します。)注目します。この時期から始まるかゆみは、秋から冬にかけて体に溜まった毒素(食べ物などに含まれるアクなども含む)のうち体表面に近い部分に溜まったものが汗腺が開く季節になったためにそれを利用して外に排泄されているためで、自然の力を借りて体が行っている今時の言葉で言えばデトックス(毒素排泄)なのです。悪いのは毒素ではなくておいしいものをたくさん食べた食生活なのに、患者さんの多くはかゆみを抑えるためにステロイドなどの症状を改善するお薬で押さえ込みにかかります。表面に近い部分なので体としては汗で処理したいので、再度チャレンジするという薬と体の鬩ぎ合いが始まります。体表面の停滞時間が長くなりますから”そうこう”しているうちに発散しきれなくなった毒素が汗腺周辺に留まる様になってしまいます。それが痛点(痛みを感じる痛点・かゆみを感じる痒点は体の表面にしかありません。)の周辺に留まってしまうのが、帯状疱疹後の神経痛という現象です。西洋医学では水疱瘡のウイルスと結びつけて説明しますが、停滞させるから結びつくわけで早く通過させてしまえば結びつく可能性は低くなると考えるが理論的ではないでしょうか。
 私はこの時期に来られる痒みを伴う症状のお客様には、説明納得していただき、発散によって痒みを改善する漢方薬を使います。痛みを伴う症状に移行して長い期間悩むようになるよりかは、2週間から一ヶ月の苦労は頑張っていただくのが基本方針です。もし辛い期間をもっと短くするのなら、毎日お風呂に入っていつもより少し汗が出るまで温まってもらいます。(最近の若い女性は湯船につからない方が意外と多いのに驚きます。体表面毒素だらけでお化粧を塗りたくっているのですね。)これで治れば、体自体の方針に沿った一番素直な治し方というわけです。
 春先に痒みを発症する傾向の方は是非ご参考に。
 


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