あきらさん
投稿日時: 2020/06/16 23:05
極度のあがり症で、人前で話すことがあると、頭が真っ白になり、手足の震えや動悸、首が硬直して、非常に困ります。
このような症状に効く漢方薬はありますでしょうか?
あきらさん。ご相談頂きましてありがとうございます。
お訴えの内容から、「上逆」に及ぶ気滞では?と推察されます。「あがり症」の名の通り、気が上がりやすい訳です。あきらさんの場合、「動悸」を訴える点から、気を衝く(≒上衝させる)痰飲の存在も覗えます。痰飲は緊張時に生じて、さらに緊張を増幅する水系産物です(緊張して唾が滲み出たり、逆に口がカラカラに渇くような経験、誰しも一度はあると思います)。その水系産物を体外へ押し流そうとして(心悸が盛んになり)動悸に及びます。その一方で「手足の震え」は気が上がる過程で、四肢から血の気が引く(≒逆流する)状態を示しています。かたや体に不要な水系産物が溢れ、かたや手足に必要な血の気が引く。そうして見ると、強い緊張状態(≒強い強張り)で「急激なアンバランス」が起きたと解釈できます。
一連のアンバランスな状態は、漢方で言うところの「四逆」の病態に相当します。この逆は「逆転」を意味します。四逆に対しては四逆散類が有効で、あきらさんのように動悸も覚える場合は「茯苓や竜骨・牡蛎」を加えるとさらに効果的です。
また「頭が真っ白になる」というのは、心神喪失:神を失する状態では?と推察されます。頭が行うのは精神活動で、それは心に宿る「神」のお陰です(心に神が宿るから、健全な精神活動が可能になる)。頭が真っ白な時に顔も青白いと、血が足りない為に神を失い、逆に赤味が強いと、心火が強すぎて神を損ないます。その点では一度、緊張時の顔色を確認してみるもの良いと思います。
人のからだは、強い緊張状態に陥ると「風通し」が悪くなります。からだの奥が熱っぽく感じる、息が塞がる感覚、冷や汗などはそのサインです。ただ実際は、緊張して強張るから、風通しが悪くなる場合もあれば、その逆に風通しが悪いから、痙攣して強張る場合(熱中症はその典型)もあります。
先に述べた四逆散は、気滞による強張りを改善する漢方薬です。それに対して、風通しを良くするものとしては、開竅薬(竅(あな)を開き風を通す)の牛黄製剤が効果的です。牛黄はまた、先に述べた「神」のお守りとして、さまざまな気つけ薬(気つけして、神を失しないようにする)にも配合される生薬です。牛黄製剤は用途や効果が多彩なので、専門家と相談して自分に合ったものを選べば良いと思います。
以上、雑多な文章ですがご容赦下さい。お大事になさいませ。
回答日時: 2020/06/17 20:00