miuさん
投稿日時: 2020/07/04 22:42
うつ病で1年2か月の55歳男性です。精神科で投薬を受けるも寛解に一度も至っておりません。休職中で自宅療養中(職を失う目前の崖っぷちの状況です)現在、うつ薬のミルタザピンと抗精神病薬のクエチアピンを就寝前に服用中です。これまで一通りの抗うつ薬を試しましたが、副作用に敏感で規定量まで飲めたのはミルタザピンのみでした。が、寛解せず追加でもう1剤の抗うつ薬を一通り試しましたが、どれもダメでした。担当医からは「もう飲む薬がない」と言われ、つい先週から漢方薬を試しに処方、まずは病院にあるものということで抑肝散でした。担当医は漢方には精通せず、自分で合いそうな漢方を調べてと言われています。また、ASDの傾向があるので、甘麦大そう湯を勧められています。うつ症状は、入眠困難、だるい、やるきが出ない、不安、頭が回らない(集中困難)、筋肉の痛みやこわばり、そわそわ感・じっとしていられない(この症状につい先週までベンゾジアゼピンの抗不安薬を1年ほど飲んでいました。ベンゾの依存・離脱も考えられます)などです。現在は、前述のミルタザピンとクエチアピン、抑肝散、茯苓飲合半夏厚朴湯(のどのつかえがあるので)、便秘薬のマグミット(毎食後)を飲んでいます。体調ですが、まず朝は、眠くてなかなか起きれません。起き掛けに吐き気を覚えることが多いです。食欲もありません。午前中は体がだるく、意欲がでません。眠気に襲われ、寝てしまうこともあります。昼食も食欲がありません。午後に体のだるさ、眠気などで寝てしまうこともあります。夕方は食欲があり、体調も安定していることが多いです。抑肝散を飲んでからは、そわそわ感は少なくなったように思います。のどのつかえは漢方が効いているときは少ないですが、それ以外ではあります。あと右足のしびれと右肩の関節痛、つっぱりがひどいです。入眠も困難です。あと、漢方を飲んでから頭を動かすとフワッと意識が遠のくような感覚が出ます。自分でも漢方を調べましたが、自分にあう薬がどれなのかわかりません。(そんな時、このサイトを見つけました!!)漢方を飲んでから、安定していることが多いので、自分に合ったものが見つかれば治るかもと期待しています。長引く治療に絶望さえ覚える最近です。何卒、ご教示のほど、よろしくお願いします。
miuさん、こんにちは。
お訴えの症状からはたしかに、抑肝散が適する感じがします。うつは漢方において、「鬱」という漢字が意味する通り、気血が鬱滞した状態を指します。その鬱滞は自律神経を介し、全身に波及します。自律神経系は五臓六腑の「肝」と関わりが深く、肝は血をつかさどる臓腑でもあります。肝の昂ぶりを抑えつつ、血流を回復するのが「抑肝散」の主たる働きですが、その実は「肝気鬱滞による血虚」に対する処方です。言いかえると、それ以外(≒肝気鬱滞によらない)血虚には役不足とも言えます。
また、漢方には「心は神なり」という考えがあります。神は神経・精神活動を、心は五臓六腑としての心をそれぞれ意味します。西洋医学と同様に、心は血脈をつかさどり、循環器系の要になる臓器です。「心は神なり」とは裏を返すと、人の精神活動や神経機能は、心による血流・血脈によって養われるという事でもあります。
うつ病を脳神経系のトラブルと見立てた場合、脳の血流が滞り、不足しがちになれば、脳の機能も立ち行かなくなります。血流が滞る要因は血管内を通る血流量の不足だけでなく、血管自体の不具合(≒脳血管障害)による場合があります。また、うつ病薬の服用を続けた方は日中に眠気を覚えやすくなったりします。個人的な見解ですが、そういった事も脳の血流が損われ、脆弱になっていく現れなのかもしれません。
miuさんの場合、午前中の不調が際立つことから、立ち上がりが悪い=心陽虚を抱えた状態では?と推察します。心陽虚は簡単に言うと、エンジンのトルクが足りなくて、スタートダッシュが切れないような状態です。時間をかけて回転数が上がっていくので、回転数が上がり切った夕方頃からは、調子が上向きになります。ただ、先に述べたように、この心陽虚がうつによるものか、薬の副作用なのかは正直、判断できかねます。
うつ病は慢性化していくほどに、脳の機能を支える気血の損耗・不足が深まっていきます。それに対するお手当てとしては、補中益気湯や帰脾湯などの人参・黄耆剤が適すると思いますが、これらの本分は、気血を通わすという点にあるので、先に述べた「鬱滞」には抑肝散なり、柴胡剤なり、あるいは牛黄製剤なりも必要になってくるのでは?と感じます。また、そこに喉のつかえに及ぶ「痰」も絡んでくると、苓桂朮甘湯や苓桂甘棗湯、温胆湯なども有効かもしれません。その点は、どこに重きを置くか?で変わってくるので、ケース・バイ・ケースですが、個人的には抑肝散から抑肝散陳皮半夏、同じ陳皮・半夏つながりで六君子湯、その原型の四君子湯から補中益気湯or帰脾湯へと裾を広げていくのが、現状では堅実かな・・・?という気がします。
以上、雑多な文章ですがご容赦下さい。お大事になさいませ。
回答日時: 2020/07/06 21:09