小次郎さん
投稿日時: 2020/07/19 22:48
1カ月ほど前からあらゆる症状が突発して手に負えません。症状は、不安感、動悸、息苦しさ、冷えのぼせ(昔から冷え性ではあります)不眠(寝付けず今は睡眠薬か安定剤を服用してます)、たまに倦怠感、口の渇き、舌の不調、息切れ、頭重、聴覚過敏(特に食器の音や高めで大きな音)です。また、昔から胃腸が弱く下痢を良く起こし肩こりもありますが、ここ1カ月は悪化しています。不安を抱えやすく几帳面な性格で、ちょっとしたことを大きく捉えすぎたり、取り越し苦労な所があり、これまでも軽い体調不良を起こすことがありましたが、コロナのことで毎日神経が張り詰めてしまい、元々の体温の高さ(平熱36.8℃で生理前には37℃超えることも多々あり)の不安も加わり、一気に爆発してしまいました。
今は、症状が突発した1か月前から鍼灸院にて灸の施術と婦人科で不眠に対して睡眠薬または安定剤(併用はしてません)を常用、漢方は今まで4種類ほど試してみてます(補中益気湯、六君子湯、加味帰脾湯、半夏厚朴湯)。それぞれ単体での服用で1週間程度しか服用していないせいもあるかと思いますが(指示で半量の時もありました)、4日間服用した半夏厚朴湯の息苦しさだけ効いている気がした程度です。育児中で体調が悪いと子供に迷惑をかけてしまうこともあり(特に聴覚過敏でうるさいと言ってしまったり)、毎日必死に運動したり不眠解消を試みたり冷やさないよう気を付けたりしてます。ストレスによる自律神経の乱れが原因だと思いますが、コロナなのでストレスはなかなか解消出来ません。こちらのサイトを見つけ、このような症状に一番合う漢方を教えていただけないかと思い、すがる気持ちで相談しました。自分で調べた所、柴胡桂枝乾姜湯が一番該当する症状がある気がしたのですが、息苦しさがありませんでした。また不安感が強いので神経症で良いと思うのですが、精神不安の方が良いですか?単体ではなく組み合わせて服用することは可能ですか?
約3日後に婦人科に通院予定なので、それまでに回答いただけたら幸いです。無理なお願いかと思いますがよろしくお願いいたします。
小次郎さん、こんにちは。
お訴えから察するに、不安による「気」の縮まりでは?と感じます。不安の感情は「恐」とか「憂」に相当するものですが、強すぎる「恐」は気を下げ、強すぎる「憂」は気を縮めてしまいます。イメージとしては(抽象的ですが・・・)、「気」が狭い部屋に押し込まれ、窮屈になった状態、あるいはその状態が長く続いて「気」が疲弊し、狭い部屋から出てこれなくなったような感じです。小次郎さんの場合、聴覚過敏を覚える点からは、前者の傾向が強いように感じますが、倦怠感を覚える様子から、後者にも入りつつあるのでは?とお見受けします。
息苦しさ・のぼせなどの訴えは、まさに「気」が窮屈(≒詰まる)状態を反映したものです。これに伴う動悸は「緊張で気が昂ぶる」のではなく、「気が鎮まらない為に胸が騒いでしまう」という状態によります。そしてこの窮屈になった気(≒塞がった気)は、胸の下辺り(心中と呼ばれる部位)に集中します。そこはまさに「お腹」なので、「もやもやする」とか「すっきりしない」などの訴えと共に、消化器系トラブルが現れる場合があります。また、心中は「溜飲」の場所とも重なるので、塞がった気の果てに溜飲(≒水系病理産物)を招く場合も想定されます。ちなみに、溜飲は、水飲が溜まる状態に相当します。
一時的・突発的な気の塞がりで招く水飲は、気が整うと共に自然に下がります。それに対して本格的な溜飲は、それ自体がまた気を塞ぐので、「痞え」はどんどん強くなり、気も重たくなっていきます(≒軽やかにならず、弾まない)。からだは重い気を何とか巡らそうとする為、その分だけ身構え、余計な力や負担が掛かってしまいます。気が休まらない、気苦労多いと感じるのも、そのような気の現れでは?と感じます。
このような状態に用いる漢方薬としては、温胆湯が合うと思います(保険の適用外だった場合は申し訳ありません)。その名の通り「胆を温める(≒強める)」方剤です。実際の治療ではこれを元に、例えば熱証寄りであれば「黄連」を、心血虚の傾向が強ければ「酸棗仁」を加えるいった工夫がされます。また温胆湯は、痰濁(≒溜飲)に関わる気の詰まり・塞がりを改善する方剤なので、その他の(≒痰濁によらない)気の乱れについては、これ単独では役不足かもしれません。その点については、「柴胡剤」を合わせることも効果的です。心煩に用いる「柴胡桂枝乾姜湯」もその一つです。症状が強い場合は、小柴胡湯+竜骨・牡蛎・茯苓(≒柴胡加竜骨牡蛎湯去大黄)も良いかもしれません。
長い目で見ると水飲の発生は、体に必要な潤いが「老廃物」に転じ、消耗が進むとも見立てることができます。余力がある内は溢れてくるものが、経過することで逆に枯渇へと及んでいく訳です。そういう状態に対しては、数ある柴胡剤の中でも柴胡桂枝乾姜湯が特に有効な気もしますね・・・。
以上、雑多な文章ですがご容赦下さい。お大事になさいませ。
回答日時: 2020/07/20 20:25
小次郎さんからのコメント