夏場は胃腸に気をつけよう
東洋医学の陰陽の概念では、環境が暑くなると調和をとるために身体の内部(胃腸)は冷えて、バランスをとろうとしています。
江戸時代の名医、貝原益軒先生は、養生訓で「夏季は冷たいものを摂るべからず、熱きものを食せよ」と言っています。
夏は野菜や果物が豊富に出回ります。
これらをうまく食べることで、十分に暑さを冷ますことが出来ます。
日本の夏は暑さだけでなく、湿度も高くなりがちです。
そのためによく動いて汗をかき、水分の調節をしていると暑さの中でも体調がよいものです。
咽には美味しいビールや冷たい清涼飲料水を摂り過ぎると、胃腸を虐げるだけでなく、胃腸が水分でだぶだぶになり、消化機能が衰退します。
夏場に下痢が多いのはこれが大きな原因です。
夏の食欲不振は疲労だけでなく、水分の摂りすぎに原因していることが多いので注意が必要です。
中医学では「脾(はい)(消化機能)は湿を嫌う」と言って、水分の摂りすぎを戒めています。
お客様からよくこのような相談を受けます。
お医者様から「水分は積極的に飲みなさい」といわれていますが……と。
私は次のように答えています。
日本の夏は高温多湿ですが、一年中を通しても西洋医学が発達した欧米に比べると日本は湿気が非常に高いのです。
欧米は湿度が非常に低く、水分の蒸発が皮膚を通してよくおこなわれるので、水分の補給が必要なのです。
日本では湿度が高く水分の蒸発が低いために大小便で出さなければなりません。
水はいくらでも飲めますが、小便は出る量に限度がありますので、過剰な摂取は体中に水分が溜まって、健康を害することになるのです。
これも東洋医学の自然との調和が大切という考えから出ているのです。
惠木 弘・著 『快適な夏の過ごし方 四季の養生法』より