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四季の色「草木染」

晩秋の草木染 - あかめがしわの染色 -

秋の草木染というには時期が遅れましたが、<晩秋の草木染>ということで紅葉の時期に手に入る「あかめがしわ」を使った染色を紹介します。

あかめがしわ
▲ あかめがしわ

あかめがしわは日本を代表する植物染料の一つで、万葉のころから染色に使用されていました。また、漢方薬としても重宝されていたようです。

10月から11月にかけてよく茂った葉を収穫し、太陽に干して保存します。しっかり乾燥しておくと1年中いつでも使えます。古くからいろいろな植物と併用し、味わいのある黒やグレーを染めていたようです。

葉を収穫
▲ 葉を収穫
葉を干す
▲ 葉を干す

今回は他の植物と併用せず鉄媒染で黒からグレーを染めてみます。

あかめがしわの染色

出来上がりのイメージ

あかめがしわの染色 出来上がりのイメージ
▲ あかめがしわの染色 出来上がりのイメージ

用意するもの

あかめがしわ(300g程度) ホーロー容器 バケツ2個 漉し網 など

染める布(素材)
  • 絹のハンカチ
  • スカーフ
  • ふくさ
  • ふろしき
  • 綿ローンのハンカチ
  • スカーフなど
注:素材の前処理
絹の場合・・湯通し(50℃~60℃のお湯に1時間ほど浸ける)
綿の場合・・洗濯する(洗濯機で洗う)
方法

浸染(つけぞめ)

浸染の基本 染料液・媒染液の量
染める布の重さの40倍~100倍程度準備する。
溶液の中で布がゆっくりおよぐ程度の量(1ccを1gとして計算)
例 絹のスカーフ30gとすると・・・1.2リットル~3リットル必要
媒染剤

工程

染料抽出工程

1. ステンレス容器などに水1リットルを準備し、その中に乾燥したあかめがしわの葉を表面がひたひたになるまで入れます。沸騰したら弱火にして15分から20分程度に出します。

容器に入れる
▲ 容器に入れる
煮出し
▲ 煮出し

2. 煮出した液をざる等で濾し染色液とします。(1番液)

液を濾す

3. 1番液を取った後、葉を捨てずにもう一度水1リットルを入れ、同じように煮出して2番液を取ります。1番液と2番液をあわせて染色液とします。


染色する

1. 染色液を40℃から50℃程度に温め、あらかじめ水に浸けておいた布地を軽く絞って15分から20分程度つけます。割り箸などでまぜてください。

浸けて染める

2. 水1リットルに食酢と錆びた鉄釘で作った鉄媒染源液をスプーン1杯程度(5cc)入れます。 (もし薄いようであれば後から加えてもかまいません)

媒染する

鉄の媒染液の作り方はこちら

3. 鉄の水溶液を30℃程度に暖め、染まった布を軽く絞って10分程度浸けます。

4. 鉄の液に浸け黒くなった布を軽く絞ってもう一度染色液に浸けます。
(未反応な鉄分を無くすためです)


水洗する

よく水洗し陰干しで乾燥します。

水洗い
▲ 水洗い
乾燥する
▲ 乾燥する

写真では真っ黒のように見えますが赤みがかった黒に染まります。グレーもとても綺麗な色です。(鉄の水溶液の濃度を変えて黒とグレーを染めました。)

色落ちもなく強い染料です。

前にも言いましたが鉄媒染の液はあまり濃く使うと染まる色が真っ黒になります。少しずつ加え、色を確かめながら使ってください。

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