最近読んだ本に「皮膚は考える」(岩波科学ライブラリー 傳田 光洋 著)があります。
傳田 光洋先生は京都大学工学研究科を卒業の後、資生堂ライフサイエンス研究センターで
皮膚の研究をされている日本を代表する皮膚科学の第一人者です。
我々の中医学の世界とは全く分野の違う世界の先生ですが、とても参考になる研究をされていました。
それは、漢方薬で皮膚病の治療をさせていただくときに、常に気にかかることが皮膚と心の関係です。
せっかくよくなってきたアトピーにストレスがかかると一変してしまう経験は何度もあります。

著書の中で「皮膚は脳と同じ受容体を持つ・・・」の言葉で理解できました。
人の表皮(皮膚の一番外側の皮)には中枢神経系で確認されたイオンチャンネル内蔵型受容体(スイッチ)が
存在していて皮膚のバリア機能にも関係しているとのことです。
さらに、脳で学習や記憶を司っている受容体が表皮にもあってバリア機能の維持に寄与しているとのことです。

詳しくは、本書をご一読いただきたいです。

中医学では皮膚病は五臓の肺(呼吸器皮膚排泄機能や免疫機能全般)の病気とされていますが、それ以外にも
肝(自律神経や血流などの調整)、脾(胃腸機能や腸内フローラ)にも深くかかわっていると考えられています。

少しずつ現代医学が中医学の曖昧な部分を解明してくれるように期待しています。