五臓とは、肝・心・脾・肺・腎ですね。
それぞれどんな働きをしているかご存じですか?
各臓の働きを簡単に説明すると

①肝(かん)とは、主に自律神経や血流のコントロール、ストレス調整などにかかわっています。
 現代人は交感神経が刺激される生活習慣ですから、特に消耗しやすいです。
 それは血流の乱れやストレスの順応力にも影響を与えています。
②心(しん)とは、主に脳や循環器とかかわる臓腑です。
 今はコンピューターを使わない日はありません。スマートフォンの普及で毎日細かな文字やブルーライトを浴びる生活は
 脳を疲れさせています。うつ病や精神疾患の増加とコンピューターの普及は無関係ではありません。
③脾(ひ)とは、主に消化器全般の機能とかかわっています。
 食物から栄養素を消化吸収するだけでなく、自身のからだに必要な栄養素(気・血・津液・精)へと変化させるのも脾の働きです。
 食べて太れない方、少食なのに太りやすい方などは大きくかかわっています。
④肺(はい)とは、主に呼吸器全般や免疫力・汗や尿などの水分代謝とかかわっています。
 風邪や鼻炎や喘息・アトピー背皮膚炎などは多くはこの機能とかかわっています。
⑤腎(じん)とは、主に泌尿器や生殖器・成長や発育・老化現象にかかわっています。
 現代が抱える不妊症や老化予防や健康寿命の問題はこの腎の働きをどう支えていくかが課題と考えられてます。

では、よい卵子を作るためにはどこがポイントなのでしょうか・

さきほどの説明からもわかうように「腎」は最も重要であることは間違いありません。
腎は女性は7歳ごとに、男性は8歳ごとでからだが変化するとされてます。
2000年以上前に書かれた「黄帝内経・素問(こうていだいけい・そもん」には、
女性は7歳で女の子らしくなり、14歳までに初潮がはじまり、21歳で大人の女性のからだが完成する。・・・。
35歳から老化現象が陽明経から始まり、49歳で腎が衰えて閉経する。
妊娠のおいてとても重要な臓腑です。
当然、卵巣の機能とも密接な関係があります。
腎に蓄えられた精(ホルモンの材料)が年齢とともに減少すれば、卵子や精子の質も悪くなります。
腎には陰陽という働きがあり、陰は卵子や精子の構造や数と、陽はその機能(運動率や分割スピード、ミトコンドリアなど)とかかわっていると思われます。

肝は情緒や自律神経や血流と深くかかわりがあります。卵巣や精巣や子宮は生殖器ですが組織の血流の良しあしでその働きは変化します。
肝は情動やライフスタイルや環境の変化に順応するために重要な臓腑です。
現代人はとくに交感神経を酷使して、からだの酸化が進む傾向があります。
外面は若々しくても卵巣や精巣の機能は低下している男女が増えています。

脾は栄養の吸収や運搬と関係する臓腑です。同じ栄養素を摂取しても吸収力には差があったり、その活用する力に差があります。
妊活においても同じことが得ます。
子宮内膜や卵胞や精子へのミネラルやビタミンやたんぱく質をしっかりとっているのに、貧血や内膜が薄かったり、精子の元気が出ない人はたくさんいます。
やはり、これらはその人の脾の力が関係することが多いです。
日本人は冷たい食べ物をよく摂取します。冬場でもアイスコーヒーやアイスクリーム、サラダやビールなど数えきれないほど内臓の機能を低下させる
食生活が繰り返されています。さらに、欧米化もすすみハンバーガーや肉などの高脂肪食も拍車をかけています。
近年、腸内フローラが話題になっていますね。善玉菌や悪玉菌、デブ菌、やせ菌・・などなど。
それがいまでは子宮内フローラにまで影響しているといわれるようになりました。
反復性着床不全などにもかかわるようでこの環境を支えているのは脾に関係することかもしれません。

心は、脳神経や循環器と関係する臓腑です。
現代人は睡眠時間が短く深夜に就寝する方が増えています。
ご存じのようにホルモンの命令は視床下部・下垂体といった頭(脳)から出されているわけです。
午後11時から徐々に増えて深夜3時ごろまで分泌が盛んであるといわれています。
ですから、卵胞や精子を育てるFSHや排卵や男性ホルモンを作るLHなどもこの時間の睡眠状況と関係するといわれてます。

肺に関しては、直接の関係は少ないですが、水分代謝や自律神経の調整にかかわる臓腑です。
下肢のむくみやリンパ液の流れとは深い関係があります。
下肢の静脈瘤や精索静脈瘤とも関係します。