認知症の方は、自分が認知症であるという自覚がありません。
自分が「ぼけたなぁ」と言う時でも、本当に自分の症状が認知症であることを理解していません。そのため、自分の行動にはプライドを持っています。ですから、自分が失敗したことを見せまいとして「問題行動」をおこしてしまうのです。
 また、自分の衰えなどに対する不安などで心理的に不安定になりがちです。自分の失敗を言い張ったり、感情をコントロールする機能が低下するために、ちょっとしたことで怒ったり泣いたりすることもあります。認知症の方は、周囲との意思の疎通ができないことをもどかしく思っています。それだけに感情の面だけは研ぎ澄まされていて相手の好悪の情に敏感に反応します。そして相手が自分のことを良く思っていないことを嫌い、相手が興奮して(責めて)いることに興奮し、興奮している自分に興奮するのです。
 認知症の方も、機嫌のいい時は落ち着いています。反対に落ち着きがなかったり、問題行動をおこしたりするのは、実は、介護者の不安や動揺、日々の介護疲れにより生じる一時の嫌悪感が原因の場合が多く見られます。ケアマネジャーに相談しデイケアに通うのも1つの方法だと思います。認知症が進行しても認知症の方の心には、私たちにも十分理解したり、共感できる部分は残されているのです。他の高齢者と同様、「ぼけたくない」という気持ちが強いため、”ぼけたら○○しなさい”ではなくもの忘れしないように、薬を飲みましょう、予防が大切ですと言って説明する方が効果的なようです。

これだけは知っておきたい認知症予防で大切なこと!!

☆「認知症の悪化要因」は「コミュニケーション不足」が多い

 アルツハイマ専門医の浦上克哉鳥取大学医学部教授は、認知症の経過を観察し「認知症の悪化要因」は「コミュニケーション不足」が多いと指摘。
 家族と同居していても会話がない人が多いことに驚き。「家族」ではなくて「同じ屋根の下にいる人」という位置づけになっていたり、寂しいことに食事もまったく別という人もいます。忙しくても、家族みんなが夫々一声かけてもらうだけでも、また離れている人は電話をかけてもらうだけでも安心感が生まれると述べています。

☆孤独感社会から取り残された感覚が認知症を悪化させる

 閉じこもりや出不精にならないためには、積極的に外へ出ることも必要ですが、高齢者が1人で出かけられるところは多くありません。家族に時間や余裕があるときは、買い物や日帰り旅行などに連れ出してあげるといいでしょう。しかし誘いに乗ってくれる人はよいのですが、その都度理由を付けて(作って)外に出ようとしない人もいます。

☆「取り繕い現象」は認知症状のひとつ

 これは、取り繕い現象といって認知症状の一つでもあり、例えば家族が良かれと思って誘っても「今日は、腰が痛い」と言われると、家族は無理して出かけても「翌日さらに痛くなったら大変」と思い、一緒に出かけることを見送ります。また、別の機会でも「今日は、頭が痛い」と言って誘いから逃げ続けてしまうことがあります。
 やはり家族が日頃のコミュニケーションの中から対応を考え、積極的に連れ出すことが大切ですし、地域の方々の積極的な「声かけ」が認知症を予防し、その孤独感を取り除いてくれます。