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御影雅幸先生の漢方あれこれ

薬膳

~毎日の食事と健康~

 近年、食材が持つ薬効への関心が高まっており、食材で病気を治そうとする「薬膳」がブームです。古来、ウルチ玄米、アズキ、ダイズモヤシ、アメなど、普段何気なく食べている食材にまで何らかの薬能があるとされてきました。誤った食事が病気を招き、逆に食物が病気を改善することを古人は経験的に知っていたのでしょう。

 本来薬膳は病気の治療を目的としたもので、個人個人の体質に合うように素材や調理法を変えて作ります。ゆえに、薬膳はある意味で偏った食餌であると言えます。誰の体にも合う共通の薬膳というものはありえません。

 個々の食材はそれぞれ偏った性質を有しており、薬膳はその作用を治療に利用するのです。一方、長期間毎日同じ性質の食材を摂っていると、当然その害が現れます。最近「一日30品目、一週間100品目」という言葉をよく耳にしますが、これは言い換えると同じ食材を毎日大量に食べるなということだと思われます。
 種々の食材を万遍なく摂取することにより、良きも悪きも中和され、平均的な食事内容になるのではないでしょうか。好き嫌いの害は昔から知られていることです。薬膳の各食材の効能を調べる以前に、毎日の食事の内容をチェックするべきかもしれません。どんなに有益といわれる食材をもってしても、それだけでは健康にはなりえないのです。

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