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御影雅幸先生の漢方あれこれ
最近ではエキス剤の登場で煎じ薬を服用する機会は少なくなりましたが、煎じ薬には患者さんの体質に従って細かくさじ加減ができることなど、エキス剤にはない優れた点があります。

漢方薬を家庭で煎じる場合は土鍋かアルミ鍋を用い、鉄鍋は避けます。 1日量を鍋に入れ、約3合の水を加え、30分以上放置して生薬を水になじませてから火にかけ、沸騰するまでは強火で、沸騰したら火を弱くして鍋の中で生薬がゆっくり踊る程度にして20~30分煎じ、液量が半分くらいになったら火を止め、熱いうちに濾します。
このとき木綿布で強く搾り取るのが正しい方法ですが、茶こしで濾しても構わないでしょう。煎じる際には一般に蓋をしますが、吹きこぼれないよう火加減に注意が必要です。
また、濾したかすに再び水を加えて二番煎じが行われる場合もあります。 二番煎じを濾した液はお茶代わりに服用します。

特殊な煎じ方
特殊な煎じ方として先煎(さきせん)や後下(こうげ)という方法があります。
先煎
「先煎」はある生薬のみを先に一定時間煎じ、後に他を合わせて煎じる方法で、例えば麻黄が入った処方でしばしば先煎が指示されます。
後下
「後下」はある生薬のみを煎じ終わる5~10分前に加える方法です。 紫蘇、薄荷、釣藤鉤など、揮散しやすい成分が入った処方で指示されます。

また、附子(トリカブトの仲間の塊根)が入った処方では、1時間以上煎じることが指示される場合もあります。これは有毒成分を弱毒化するためで、はじめから多めの水を加えて煎じるのが良いでしょう。
このように、煎じ方にもいろいろな方法があります。 わからない場合は遠慮なく薬剤師に相談しましょう。
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