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| 気うつ・意欲の低下 | ||
気うつ傾向や意欲の低下は、西洋医学(心療内科、精神科)の心理療法や薬物治療が必要な場合があります。
気うつ感や意欲の低下を生薬・漢方処方だけで治療するのは限界がありますが、本音を話せる「かかりつけ」の薬剤師さんと相談すれば、気分が晴れることがあります。このような心因性の「気うつ・不安感・意欲の低下」に用いる生薬や漢方処方を紹介します。
主たる生薬は、薬用人参です。胃腸を調えて心身の機能を活性化する薬です。

食欲がなく疲れやすいHEさんは、体力低下のため「やる気」がでません。風邪をひくとこじれて寝込みます。
HEさんには補中益気湯(ホチュウエッキトウ)が適します。この処方には薬用人参をはじめ黄耆(オウギ)、甘草(カンゾウ)、白朮(ビャクジュツ)、大棗(タイソウ)、生姜(ショウキョウ)、陳皮(チンピ)という胃腸を調える生薬が含まれています。処方名の「補中」は、「おなか」の機能を補うという意味です。
なお大棗は、果物のナツメの果実、生姜は薬味のショウガ、陳皮はマーマレードに類するミカンの皮ですから、食べ物と同じ生薬です。


胃腸が弱いと貧血傾向になります。そうすると自信がなくなって不安感や、動悸息切れ、不眠を伴います。このような時には人参に加えて酸棗仁(サンソウニン)を含む帰脾湯(キヒトウ)が適します。
意欲を高める柴胡(サイコ)という生薬と薬用人参を組み合わせて「気うつ感」に用いる処方に柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)があります。
イラストのSBさんは神経質で円形脱毛症を悩んでいる様子です。体格は「そこそこ」ですが、見かけ以上に神経質で、人の思惑や血圧の変動が気になり、動悸、めまい、気うつ感、不眠に悩む人です。
体力が低下し冷え症の婦人の「意欲低下」や「体力低下」には黄耆建中湯(オウギケンチュウトウ)が適します。 これは薬用人参を含みませんが、黄耆や甘草、大棗、生姜は補中益気湯と共通しています。
処方名の「建中」も補中益気湯の「補中」と同様に「おなか」を調えるという意味です。建中湯類は芍薬と大棗を多く含み、更に膠飴(コウイ:水飴)で栄養をつけ便通を調えます。
膠飴は米・麦などのデンプンに麦芽を加えて糖化した麦芽糖です。

イラストのHKさんは孤独を好む几帳面な人で、電車の座席の隅に「ひっそり」と座っている様子です。HKさんには半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)が適します。のど元のつかえ感(咽喉頭異常感)に用いる処方です。厚朴(コウボク:ホオノキの樹皮)と蘇葉(ソヨウ:シソの葉)が気分を明るくする生薬です。

イラストのHJさんは、年齢を重ねて疲れがとれにくい様子です。八味地黄丸(ハチミジオウガン)が適します。夜間に小便を行く回数が多く、眠れないので疲れや気力の低下を感じています。皮膚が乾燥し「かゆみ」にも悩んでいます。
地黄(ジオウ:カイケイジオウの根)や山茱萸(サンシュユの果肉)で潤いを回復します。八味地黄丸は生薬の粉末を蜂蜜で固めた丸剤(ガンザイ)でしたが、現在では煎じ薬でも使用されています。

気うつ感や意欲の低下の漢方治療は、食欲、便通、睡眠、その他の症状を総合して判断します。多くの自覚症状を本音で話してください。
しかしながら、漢方処方だけで治療するのは限界があることもご了解ください。
気うつは不眠を伴います。
まず「睡眠障害」でかかりつけのお医者さんに相談されると良いでしょう。
さらに心療内科、精神科の心理療法や薬物治療が必要な場合があります。
これらの場合には、漢方処方と抗うつ薬を併用することが適する場合もありますので、主治医の先生とご相談ください。