自然とかかわることの少なくなっている現代では季節感も薄れていますが、春暖、夏暑、秋涼、冬寒という四季のめぐりは、植物に春の芽生え、夏の成長繁茂、冬の枯萎という生命サイクルを生んでいます。私たちも四季のめぐりの中で暮らしていますから、自然界の陽気が活発になる春夏には、血のめぐりや、ホルモン分泌などの体の新陳代謝も活発になります。この時期は活動的にして陽気を十分に取り込むようにします。秋冬には陽気は衰え、陰気が盛んになるので外気は冷えます。体の血液は内部に多く集まり、皮下脂肪を蓄え、発汗を少なくして熱を逃がさないよう代謝を低くします。冬に汗が出るほど部屋を暖かくすれば、体の元気は汗とともに抜け出てしまい、返ってカゼを引きやすくなってしまうのです。冬季は滋養のあるものを摂取し、元気を体の内に蓄える時で、冬は来る春の活動期に備え栄養を蓄えることが大切です、というのが「冬令進補」です。このことが春先の季節の変わり目の体調不良や花粉症、夏の体力不足を予防することにも役立ちます。現代は医療の進歩がめざましく、なんでも医療まかせになりがちですが、自分で養生して病気にならないようにすることが、今も昔も最高の治療ではないでしょうか。