さて、漢方薬で花粉症の症状をどのように考えるかと言いますと、現代医学では花粉に注目しますが漢方では内因的要素を重要視します。脾・肺・腎の代謝や働きが失調し、体内の異常な水分(痰飲)が生じているところに外部からの風(アレルゲン)や寒(寒冷刺激)によって水の様な鼻水・鼻詰まりが引き起こされると考えます。さらに肺に熱が籠るようになった場合には、鼻炎・粘稠な黄色い鼻水・目の充血が現れるようになります。
治療する場合には、まず風寒証なのか風熱証なのかを判別いたします。
風寒証の場合、くしゃみの連発、サラサラと透明で水っぽい大量の鼻水、鼻詰まり、頭痛の症状が現れます。花粉症患者の8割がこのタイプです。花粉症の時期になるとティッシュが手放せない方がこれに該当します。治療薬としては、体を温めて体内の冷えや痰飲を取り除く小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯、葛根湯加川芎辛夷、麻黄附子細辛湯、防已黄耆湯、川芎茶調散などを用います。
一方、風熱証の場合、黄色くドロッとして粘性が高い鼻水、鼻づまり、目の痒みや充血、咽の痒みや違和感などの症状が現れます。治療薬としては、からだの炎症(熱)やネバネバした湿を取り除く銀翹散、荊芥連翹湯、越婢加朮湯、竜胆潟肝湯、辛夷清肺湯などを用います。
食事についての注意点は、体に痰飲(異常な水分)を蓄えないように、冷たい飲食物・乳製品・グルテンなどを控えると花粉症の症状は和らぎます。また、甜茶・菊花・薄荷などの入ったお茶も有効です。
当薬局では生活習慣や食事を含めた丁寧な問診を行っております。このように日常の食生活に気を配っていても辛い症状が現れる時には、お気軽にご相談ください。
薬剤師・国際中医師・国際薬膳管理師 津島哲平