半年ほど前に、全速力で走って膝関節を痛めた人。
病院で水を二回ほど抜いてもらった。
今は水が溜まってないが、動かすとまた痛みが出そうで怖くて歩けない。
家事もままならず、ましてや外出して買い物など恐怖。
整形での治療に限界を感じて来院された。

診ると、膝に水は溜まっていない。
筋肉が硬くなってはいるけど どこかにすごい炎症が起こっているわけでない。
それよりも恐怖心で心の硬さが筋肉の硬さにつながっているように思えた。

そこで、治療は、心と筋肉をほぐす事に主眼を置いて、
漢方は気の巡りをよくし、水分代謝も良くし、血流も改善するという処方を考えた。
気>水分>血 のバランスで考え、「大丈夫です。○○くらいなら歩いて行けます」と
徐々に自信をつけるべく、太鼓判を押してあげた。

すると、ロックが解除されたかのように、少しづつ歩ける距離が延びていき、
でも、「足がだるい」「腫れる、むくむ」「恐い」という訴えを繰り返しつつ、
「○○まで歩いて行けました」
「階段の上りはできるようになりました」
「階段の下りもできるようになりました」・・・・・・と。

昔、「医師話術」という本を読んだ事を思い出した。
何気ない言葉も含めて、
その方がどうとらえるかを常にアンテナを張って声かけをする事が如何に大事か。

自分も勉強になった症例でした。

   

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