おしっこが出にくいとお悩みの86歳、お元気な男性です。
2か月前から尿の回数は多いが、
トイレへ行っても少ししか出ない、
という状態が続いているそうです。
お悩みはほかに、物忘れ、です。
近頃とみにひどくなり、人の名前や物の名前が出てこない、
とおっしゃる会話のテンポは速く、
動作、身のこなしも機敏で若々しく、
失礼ながら86歳の高齢にはとても見えません。
病院では前立せん肥大、と言われ、手術をしようか迷っているが、
その前に一度漢方薬で様子を見たい、ということで来店されました。
降圧剤、糖尿の薬を飲まれています。
便通よく食欲あり、尿意で起こされる以外はよく眠れます。
頻尿になってから、のどが渇くようになった、どちらかというと寒がりだ、とのことです。
舌に裂紋があり、黄色く厚い苔があります。
以上から、腎陰陽両虚熱の2種類のお薬出しました。
二週間後
尿の出がかなり良くなったそうです。
舌の黄色く厚い苔も消えていました。
漢方薬を気に入ってくださり、これからも続けたい、とのことでした。
漢方では、
おしっこのトラブルも、物忘れも
「腎」の働きと関連付けて考えます。
腎は精を蔵し生殖・発育をつかさどるのです。
精とは、生命の根源をなすもので、腎に貯えられます。
腎精は、年齢とともに減ってきます。
その結果、歯が抜ける、髪が白くなる、聴力の低下、尿漏れ、尿が出にくい、記憶力の低下、
腰痛、足腰の弱り、などの老化現象が現れます。
これに対して漢方では、補腎、と言って腎の働きを補う漢方薬を用います。
このかたも、漢方薬を続けることで、物忘れも改善するかもしれません。
漢方・自然薬が好きな薬剤師 たにあつこ
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更新日: 2019/07/29 |