疲れの裏に乱れあり。
前回の引き続き、老化と毒素について。
毒素というと、文字通りの毒(ポイズン)と捉えてしまうかもしれませんが、
漢方では、からだに負担をかけるものの総称を毒と考えます。
言いかえれば、毒性が限りなくゼロに近い毒。
ただそのような毒でも、塵も積もれば何とやらで、滞積することによって災いと転じる。
そういうもの、そういう性質が漢方でいう「毒」であり、
それに伴って現れる症状などは、さしずめ毒証といったところでしょうか。
ちなみに「中毒」は毒に中(あた)ることの意。
漢方でいうところの毒には、この中(あた)るという考え方はありません。
ただ一方で、解毒という考え方はあります。
加齢と伴い、からだにそのような毒素がたまりやすくなる。
言い方を変えれば新陳が悪くなる。
その背景には現代の生活習慣が影響している。
前回はここまでお話したと思います。
少し脱線しますが、こういう話をする上で、
私が個人的に念を推しておきたいのは、
生活習慣とか様々な健康法とか予防法などは、
良くも悪くも一つのリスク・マネージメントという点。
ある習慣に陥れば、ある症状が出る・・・のではなくて、出やすくなる。
ある予防法を心掛ければ、ある症状が出ない・・・のではなくて、出にくくなる。
インフルエンザとその予防で考えると自明の事と思います。
けれど、「じゃあ、予防接種とか手洗い・うがいって、やっても意味無いじゃん・・・。」
とは、実際にはなりませんよね。
それはそれで、リスク・マネージメントとして、一定の役割があるわけです。
ですが感染症でいえば、医療関係者と一般の方ではリスクの程度は大きく異なります。
そこではやはり、医療関係者は、一般の方以上に予防に、気を配っている。
それもまた事実です。
そして、老い・老化というのはある種、
行き着く先というか結果が決まっているものです。
齢を重ねると、こういう症状が出やすくなり、健康上では、こういう病が現れやすい。
けれどもそれは「万人がその通り」であって、
「貴方がその通りかどうか」は定かではありません。
ですから、万人に当てはまる老いへの対処も大切ですが
より貴方の老いにあった対処法:リスク・マネージメントが重要になってくるわけです。
男なのか、女なのか・・・
夏が過ごしやすいか、冬が過ごしやすいか・・・
仕事をしているのか、そうでないのか・・・
家族はいるのか、いないのか・・・
趣味はあるのか、ないのか・・・
そのようにして実に多様な事象が、
人生に影響を与え、貴方の老いは成り立っていくと思うのですよ・・・。
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更新日: 2015/06/22 |