
今回は、注目されている項目の一つである不妊症と糖化の関係について話したいと思います。
糖化とは、食べ物から摂取した余分な糖分と体内のたんぱく質が結合して、それに熱が加わることで細胞を劣化させる減少のことで、メイラード反応と言われています。
いわゆる、パンをトースターで焼いたときにほんのりと表面がきつね色になっている現象のことで焦げのことをいいます。
その糖化によってつくられた糖化最終産物(AGE)が一度体内にできてしまうと、代謝されにくく、細胞に蓄積されていってしまいます。そうするとAGEが蓄積された箇所には炎症がおきて動脈硬化や血栓、シミなどがおきてしまいます。
不妊症とAGEの関係を示す研究の一つに
AGEが蓄積している患者さんほど体外受精や顕微授精の成績が悪かったことより、AGEの蓄積は卵巣機能の傷害や妊孕性の低下に重要な役割を
果たすことを示した論文(M. Jinno, et al.; Hum Reprod, 26:604-610, 2011)が報告されています。
AGEがたまっていない患者さん・・・30代後半までは卵が十分に採れる。40代になり減り始める。
AGEがたまっている患者さん・・・30代半ばから急激に採れる卵の数が減ってくる。
との報告があるようです。
ビタミンB1誘導体やインスリン抵抗性のある薬を投与することによってAGEを下げるなど良い結果もでているようです。
自分達がAGEを増やさない生活に着目すると、日々の食生活に気を付けることだと思います。
・妊娠する前より糖質を多く含む米やパン、麺類などの炭水化物の量を減らして、その代わりに卵、肉、魚などのたんぱく質を取るようにする
・食物繊維や野菜を食べてから炭水化物などの糖類が多いものを摂取することで血糖値の急な上昇が抑えられ、糖化を抑制することにつながります。
漢方では、例えば「瘀血(おけつ)」を改善する生薬に「丹参(たんじん)」があります。
活性酸素をすばやく減少させ、抗酸化作用があることが確認され、優れた微小循環改善作用が認められているので、腎臓病、糖尿病合併症、婦人科疾患、不妊症などさまざまな分野に応用されています。
以上です。
